梔子(クチナシ)とは、どんな魅力がある花?
中国では「香りのない花は心のない花」とまで言われるように、花の香りは、とても重要とされています。そのなかでも香り高い「七香」というのは、梅・菊・百合・茉莉花・木犀・水仙、そして梔子(クチナシ)。私もクチナシの咲くころは、ふらふらと虫のように香りで誘われてしまいます。でも冬の開花していない時期も、必ずクチナシの元へと足を運んでしまうのは、お目当ての果実があるから。この果実が、実に素晴らしいのです。
香りだけじゃない、クチナシの魅力
生まれ育った団地にはクチナシが生息していて、果実の熟す12月末にあわてて採りにいくと、すでに無いこともしばしば…でした。それもそのはず、クチナシの果実はおせちの「栗きんとん」や「たくわん」などを黄金色に染めあげてくれる、自然の着色料という魅力も持っているのです。
まだまだあるクチナシの魔力
まだまだそれだけではないのが、クチナシの魔力。古来から生薬として「不安・不眠・吐血・血尿・血便・炎症・打撲」などのお手当に使われています。そして「ひび・あかぎれ・しもやけ」には、果実を生のまま擦りこむのだとか。これは簡単だと思い試してみたのですが、衣服に黄金色が付いてしまうのでやむなく断念…。
ということで今回は、冬の乾燥した時期の必須アイテム「手荒れに塗る軟膏」をクチナシを使って作ってみます。こちらは基本の材料となりますので、お好みのオイルに変えてみたり、精油などを入れてオリジナルで楽しんでみてくださいね。
クチナシの軟膏作り
必要な道具
・コンロ
・鍋
・ボウル
・お茶パック
・割り箸
・容器 (今回は30g容器で4個作りました)
材料
・クチナシの果実(熟しているもの) 2つ
・菜種油(椿油・ごま油など) 80g
・みつろう 10g
・柚子(無くてもOKです)
作り方
1.鍋に水を入れて沸騰させてから、材料を湯煎していきます。ボウルに菜種油とみつろうを入れて、約100度Cの温度で溶かします。
2.みつろうが溶けたら、クチナシの実をお茶パックに入れてから、ボウルに加えます。
3.10分間そのまま火にかけます。時々、割り箸でクチナシを突いてエキスをたっぷり出しましょう。
4.柚子の皮も入れ、10分したら火を止めます(柚子の皮もお肌をしっとりさせてくれます)。
5.クチナシの入ったお茶パックをできるだけ絞ります(熱いので火傷に気をつけてください)。
6.柚子も取り除いたら、冷めないうちに容器に注ぎ、固まったら完成です。
お正月の栗きんとんにお手当としても使われるクチナシの果実を使うのは、縁起が良いというだけではなく、身体を想っての知恵が含まれているのかもしれません。
香りの季節とはまた違ったクチナシの魅力を、是非とも楽しんでみてください。