ホーボージュン
雪山を軽快にハイクアップ
SNOW SHOE
アトラス/ヘリウムBC23 ¥23,000
インジェクション・モールド(一体成型)のプラスチックを使用した超軽量スノーシュー。しなやかなデッキは急峻な斜面や複雑な地形への対応力が高く、鋭いトラクションレールもグリップ力が高い。登山やバックカントリーに適した山岳用モデルと雪原ハイキングに適した傾斜地用モデルをラインナップしている。
SPEC
●サイズ=20×59cm ●重量=1.34kg
●適合荷重=36~72kg ●デッキ=一体成型プラスチック
●クランポン=ヘリウムBCクランポン
問い合わせ先 モンベル 06(6536)5740
軽さとフレックスに優れた
最新の山岳スノーシュー
雪原ハイキングだけでなく登山用としても人気の高いスノーシュー。今季はアトラスからすごい新作が登場した。「ヘリウム」と名付けられた新シリーズはその名のとおり軽さが自慢。従来モデルが1.7kgだったのに対し、1.34kgと劇的に軽い。
その秘密は一体成型のプラスチックデッキだ。これまで同社は剛性と浮力を重視して「ジュラルミンパイプ+ナイロンデッキ」にこだわってきたが、それに比べシンプルで軽くなり、足元が軽快になったおかげで、登りがぐっと楽になった。
しかし僕が驚いたのは高いフレックスだ。見てのとおりデッキにはたくさんの穴があけられ、力を入れると大きくねじれる。これによって凸凹の地形にデッキがうまく追従してトラクションがかかるし、これまでスノーシューが苦手としていた下り斜面もガンガン踵から降りていけるようになったのだ。
またシリコンバンドをZ形に取り回して締めるバインディングは脱着が速く、脱いだ後は平らに重ねられるので携行しやすい。まさに「登ってよし、下ってよし、担いでよし」の三拍子が揃った。今後の雪山では間違いなく台風の目になると思う。
ここがスゴい!
一体成型デッキとピボット式の前爪
本作はライバルのMSRやタブスと同様にプラスチックデッキとピボット式のクランポンを採用。より軽くアクティブに変身した。
大きく曲がるデッキのエンド部
スノーシューはデッキ後部が引っかかり斜面を下りにくいのが難点だが、本作は大きくしなるので、踵からガンガン降りていける。
頑丈でよく食い込むトラクションレール
ジュラルミン製の鋭利なレールがアイシーな斜面や岩場、トラバースなどで威力を発揮する。ライバルに比べて圧倒的に厚く頑丈だ。
V S
雪山を自在に滑りまくる
SPRIT BOARD
オガサカ/FACET 159 ¥155,000
日本の名門スキーメーカーが威信を懸けて開発した最新スプリットボード。一体感と剛性感が高く、まるでソリッドボードのように自由自在に山を滑れる。プレーンなフォルムで雪面状況を選ばないので、急峻な雪山の大斜面からスキー場までこれ一本で楽しめる。今冬は長さやフレックスの異なる7モデルをリリースする。
SPEC
●サイズ=159cm ●ウエスト幅=25.8cm
●有効エッジ=123cm ●芯材=ASPコア
●ソール=シンタード・グラファイト
問い合わせ先 小賀坂スキー販売 026(226)0660
メイド・イン・ジャパンの
底力を感じさせる精緻さ
一方、山岳スノーボーダーの間では、スノーシューを使った登高からスプリットボードへ転向する人が増えている。
スプリットボードはスノーボードを縦に割り、山を登るときにはスキーのように履いて歩き、下るときには組み立てて横向きに滑降する。こうすることで重いスノーボードを背負って登る苦しみから解放されたのだ。
ただし本来の「一枚板」に比べるとどうしても乗り味が劣る。ボードの剛性、トーション(ねじれ)、反発力などが足りず、物足りなく感じてしまうのだ。
ところが100年の歴史をもつ日本の老舗・オガサカが開発した「ファセット」はこれまでとまったく違う。100分の1mm単位で左右の結合精度を上げ、さらに強い結合力とガタツキ防止のために専用のネジ類まで自作するという徹底ぶり。
こうしてでき上がった本作は目を凝らしても継ぎ目がわからないほど精密で、その乗り味は刀鍛冶が叩き上げ、研ぎ上げた日本刀のよう。パウダースノーではもちろん、ゲレンデの整備されたバーンでもキレッキレのカービングを見せる。
これひとつで日本中の山と斜面を楽しめる一本なのである。
ここがスゴい!
操作性が素直で誰でも乗りやすい
バインディングを取り付けるためのインターフェイス(別売り)を取り付けたところ。スムーズでクセがなく、違和感なく乗れる。
工芸品のような高い加工精度
内側エッジの結合精度を1/100mmレベルで設計・加工してあり、結合面にはスキマやズレが一切ない。これぞ日本メーカーの底力だ。
雪山滑降時にはスノーボードに変身
ワンタッチで着脱できるバインディングを専用インターフェイスに差し込むと、このようにスノーボードポジションに変身するのだ。
※撮影/中村文隆
(BE-PAL 2021年1月号より)