庭の木を加工して思い出を残す。両親の植えたナナカマドが一生使える食器になった話
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    2021.01.21

    庭の木を加工して思い出を残す。両親の植えたナナカマドが一生使える食器になった話

    私が書きました!
    フリーライター
    アサノダイスケ
    秋田県在住。幼少期に父に連れられて行ったキャンプでアウトドアに目覚め、妻ともアウトドアがきっかけで知り合い、結婚しました。毎週末、妻とキャンプに出掛ける日々を送っています。目下の目標は「雪山での雪中キャンプ敢行」で、それに向けて着々と準備中です。

    我が家のシンボルツリーをククサに加工してみる

    シンボルツリーだったナナカマドを、ククサに加工する。

    私の実家の庭には、ガーデニングが趣味の父と母が植えたナナカマドの木がありました。春先から夏は青々とした葉を付け、秋は真っ赤に紅葉し、赤い小さな実を付けるナナカマドは、我が家のシンボルツリーでした。

    そんなナナカマドの根が、隣家の敷地に侵入しそうだということで、やむなく伐採することになってしまったのです。

    我が家と成長を共にしてきたナナカマドを、何か形に残して手元に置いておけないかと考え、木製の食器であるククサを自作することにしました。

    今回は我が家のナナカマドに関するお話を交えながら、ククサの作り方についてご紹介します。

    我が家の庭を綺麗に彩ったナナカマド

    ナナカマドの樹皮は、サクラに似ている。

    ナナカマドはバラ科の落葉樹で、「七回かまどに入れても燃えない」や「七日間かまどで燃やすと良い炭になる」といった俗説から、ナナカマドという名前が付いています。炭と聞くと私たちキャンパーは、すぐに焚火やBBQの燃料にできないかを考えてしまいますよね。ナナカマドは事実、火持ちの良い薪になるそうです。ククサに加工した残りは、薪にする予定です。

    樹皮はサクラによく似ており、木材は硬く丈夫で、食器への加工に向いています。そのため今回は、ナナカマドをククサに加工することにしました。

    我が家のナナカマドは直径約15cm程度、高さは約5~6mまで成長していました。毎年初夏頃には白い花を咲かせ、秋にかけて葉が赤く紅葉し、冬は落ちずに残った赤い実が、雪で真っ白な庭を彩っていました。

    伐採した幹の直径は、約14cm。

    伐採した幹は直径14cm、とても立派に成長していました。

    これからククサ作りに挑戦したいという方は、この段階で木材をよく乾燥させておくことをおすすめします。水分がまだ多く残っている生木は、鋸での切断やナイフでの削り出し作業に、とても苦労します。

    私はしっかり乾燥させないままククサ作りに取り掛かったため、加工中にどんどん木材が乾燥収縮し、ククサに大きなヒビができてしまいました。

    ククサの材料を切り出す。

    木材が乾燥していない状態を生木(なまき)と言いますが、生木を切るには生木用の鋸を使うのがおすすめです。生木は鋸で切ると木くずが鋸刃に詰まりやすいため、刃が粗く木くずが詰まりにくい生木用の鋸が、スムーズに木材を切断できます。

    ちなみにナナカマドの赤い実が冬でも落ちないのは、ソルビン酸という成分が実に含まれているためです。ソルビン酸は食物保存料にも使われており、この成分のおかげで冬でも実が腐らず、木に付いたままなのです。真っ白な雪と、真っ赤な実のコントラストは、とても美しかったです。

    ナナカマドを玉切りにした。ここからククサを削り出す。

    玉切りにしたナナカマドの樹皮を剥き、内側の木材からククサを削り出します。この段階で木材に大きな節や欠損がある場合は、手間ですが再度木材を切り出すのがおすすめです。

    ナイフで樹皮を剥いたナナカマド。

    樹皮は比較的やわらかいため、ナイフで簡単に剥くことができます。しかし内側の木材は硬いため、良く研いだナイフでなければ削ることが難しいです。

    フックナイフで、器の形に削り出す。

    木材からククサやスプーンなどを削り出す際には、フックナイフがあると便利です。

    フックナイフとは片刃、もしくは両刃で、刀身がフック型に湾曲しているため、器のような形状を容易に削り出すことができます。

    今回は器の中を削り出してから、外側の形を整えた。

    ククサを削り出す際の手順は、まず外側をカップの形に削り出してから、器の中を削ります。

    今回私は手に入れたフックナイフを早く使ってみたいがために、セオリーを無視して先に器の中を削りました。

    もしククサ作りに挑戦する方は、外側・器の中の順番で削り出しましょう。

    外側を削っている最中に、ククサにヒビが入った。

    フックナイフを使って外側を削っている最中、乾燥によってククサにヒビが入りました。しっかり乾燥した木材を使わないと、このようにヒビが入る可能性があります。

    この時点でククサに飲み物を入れて実用することが困難になったので、私は観賞用のククサ作りに方向転換しました。

    持ち手部分以外の削り出しが完了したククサ。

    持ち手部分を残して、その他の削り出しを完了させます。持ち手部分は最後に、好みの形に整えます。

    指を通す穴は、ドリルで下穴をあける。

    ククサの持ち手は、手で持ちやすいように指を通す穴をあけます。

    ドリルで下穴をあけて、その穴を広げて指が通る大きさに仕上げます。

    ククサ全体にヤスリがけをおこなう。

    フックナイフで削ったままだと、ククサの線がガタガタで見た目が良くないため、ヤスリがけをおこないます。

    電動サンダーを持っている方は使いましょう。手でヤスリをかけるのは手間が掛かるうえに、表面を滑らかに仕上げるのが少々難しいです。

    仕上げにオイルフィニッシュをする。

    削る・やするの全工程が完了したら、仕上げにオイルフィニッシュをします。

    ククサはクルミ油で仕上げると綺麗な色になりますが、手に入らない場合はスーパーで購入できるアマニ油を使いましょう。

    ククサになったシンボルツリー

    ククサは大事に使えば、一生モノになる。

    やむを得ず伐採してしまった我が家のシンボルツリーでしたが、ククサに加工したことによって、一生モノの食器として残すことができました。

    庭で色付き四季を感じさせてくれるナナカマドは無くなってしまいました。しかしククサを見るたびに、青々とした葉や真っ赤な紅葉、赤い実を食べにくるツグミの鳴き声を、思い出させてくれそうです。

    仕方のない事情で思い出のある樹木を伐採する際などは、ククサに加工すると思い出が引き継がれるのでおすすめです。皆さんもぜひ試してみてください。

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