ところで。春の陽気もありますが、意外とぽかぽかしていた糸魚川の傾斜地・上刈地区。実はここ、ミカン栽培の北限の地でもあります。上刈ミカンはおなじみの温州ミカンよりも一回り小さく種が多いため、子宝ミカンとも呼ばれていたそう。一時絶滅が危惧されましたが、現在は地元の方々が保護をしているとのこと。「買う時は升で2杯半。升升半でますます繁盛と縁起を担いでいたんですよ」と渡辺さん。
上刈地区までは武家や商人たちにまつわる史跡が多いのですが、山に向かうにつれて集落ごとに建立した石碑や地蔵などが増えていきます。原山地蔵は高さ約180cmと見上げる大きさ。この地蔵は大峰峠にも兄弟地蔵があります。
少しややこしいのですが、塩の道には、①西廻りと②東廻り(厳密には東廻りは2通り)のルートがあり、「おおみねとうげ」は、①西廻りにある大“峰”峠と②東廻りにある大“峯”峠があります。山の字が編と冠で違います(文献によっては逆になっているものもありますが、この連載では小谷村観光公式サイトに習うことにします)。このあたりのことも、歩く前に一度、地図ガイドなどでルート確認をしておくと混乱せずにすみますよ。
市街地を抜けて、フォッサマグナミュージアムのある美山公園から、いよいよ舗装路ではない山道へ。海側からは塩や海産物、内陸側からはタバコや麻など、重荷を背負った歩荷像がお見送り。軽いザックなのが申し訳ない。緩急のある山の道は季節がら山菜ロードとなっていて、女性陣はビニール袋片手にワラビにゼンマイと、今夜のおかずを摘み摘み歩きます。これもまた自然豊かな塩の道を歩く楽しみ。