背の高い調理道具が収納できるギアボックスを、自分で設計・製作してみた
キャンプギアを収集していると必ず付きまとう問題が、「ギアをぴったり収納できるボックスが、市販品で見つからない」という悩み。
特に調理道具は、小さなものはスパイス容器や折り畳みナイフ、はたまた大きなものはケトルやスキレットなど、サイズにばらつきがあります。これらをぴったり収納できる入れ物を探すのは、とても骨が折れます。私自身、調度良い収納ボックスが見つからず、悩んでいました。
そこで今回はそんな悩みを解決するべく、自分のギアをぴったり収納できる、ギアボックスをDIYしてみました。
設計から製作までの風景と、製作時の手順と注意点をご紹介します。細かい寸法は記載しないので、自分も作ってみたいと思った方は、この記事を参考に自分のギアに合わせてサイズを設定してみてください。
綿密に設計する
DIYで何かを製作する際、最初に設計をするかしないかで、作業効率や出来上がりの精度、ひいては製作が成功するか失敗するかが決まります。
簡単な道具を作る場合は、簡易的な手書きの図面で問題ありません。
しかし今回製作するギアボックスは、構造が少々難しいため、フリーのCADソフトを使用して設計しました。
材料の切り出し・加工
設計図面をもとに材料を買い出したら、切断寸法を罫書きします。
のこぎりや丸鋸、ジグソーなどの工具を使う場合、必ず刃の厚みも計算に入れて罫書きをしましょう。
材料切断に電動工具を使用する場合、直線でカットするために丸鋸定規を使うのがおすすめ。
また切断中に材料が動かないように、クランプを使ってしっかり固定すると、作業効率が上がります。
電動工具を使用する際は、誤って怪我をしないように細心の注意を払いましょう。
底板の合板を側板に差し込むため、側板に溝を彫ります。電動工具のトリマーを使うと、溝彫りが容易になるのでおすすめです。
トリマーはホームセンターなどで、1万円程度で購入することができます。ただし先端工具のビットはあまり安価なものを選ぶと、作業中にビットが折れる可能性が高いので注意しましょう。
今回使う合板は厚みが4mmのため、トリマーのビットも、径が4mmのものを使用します。
切断したり溝を彫った後の木材は、バリが出ていることがあります。バリを放置すると見た目が良くないうえに、触った際に指に木が刺さるなどして、怪我をする恐れがあります。
紙やすりでバリを取り除いておきましょう。
塗装をする場合は、部材を組み立てる前にしておきます。組み立て後に塗装すると、綺麗に仕上げるのが難しくなります。
今回は光沢が出づらく、木目がはっきりと浮かぶ水性ステインを使用します。
塗料を塗る道具は、着なくなった綿100%のシャツなどをちぎって使うのがおすすめです。
組み立て
組み立ては釘やビスだけでなく、接着剤を使用すると強度が上がるのでおすすめです。接着剤は木材同士の接着にも使える種類を選びましょう。
部材の小口面に接着剤を、薄くまんべんなく塗布します。接着剤の量が多すぎると、接着後の強度が弱くなる場合があります。あくまで薄く塗布することを意識しましょう。
ギアボックスの1段目と2段目を先に組み立てます。最終的な連結は後で調整しながら行うので、まずは箱のみを3つ製作します。
部材同士を接着剤で貼り付けた後、釘で補強します。接着剤だけでは強度が心配なため、念のため釘で補強するのがおすすめです。
ソーイングボックスのフタを蝶番で留めるため、蝶番を取り付ける箇所をトリマーで切削加工します。
切削加工の必要がないフラッシュ蝶番を使うという方法もありますが、今回は一般的な種類の平蝶番を使うため、トリマーで切削加工をします。
切削加工した箇所に、平蝶番をねじ留めします。まずは仮止めをして、問題なくフタの開閉ができるようであれば本締めをし、固定します。
先ほどと同様に、フタの裏にもトリマーで切削加工をします。平蝶番をねじ留めしたら、フタの完成です。
ギアボックスの大枠の箱が完成したら、箱同士を連結するためのアームを加工します。
アームと箱をボルトで繋ぐために、ボルトを通す穴をあけておきます。
設計図通りに製作する場合は、部材を切り出す段階でボルト穴をあけておくと、作業効率が良くなります。
しかし今回は初めて使う電動工具もあったため、設計図通りの寸法にはならないと判断し、製作しながらボルト穴をあけています。
材料の切り出しで正確な寸法を出す自信がない方は、穴あけの位置などを微調整しながら、製作すると良いかもしれません。
アームと箱をボルトで留める際に、間に1枚ワッシャーを入れると、アームと箱が擦れずスムーズに動くので、ワッシャーを入れるのがおすすめです。
箱をアームで連結し、持ち手のハンドルをビス留めしたら、ギアボックスの完成です。
自作だからこそできる工夫
市販品を購入するのではなく、自分で作るからこそ、かゆいところに手が届く工夫を施すことができます。
今回私はアームと箱をボルトで留める際、ボルトの頭やナットが表面に飛び出ないように、ざぐり加工をしました。
こうすることで箱の中に収容するギアが、ボルトで傷つくことがありません。
写真の向かって右側2段目の箱は、仕切り板を差し込めるように溝を彫っています。この溝の位置も、ボルトと接触しないように、設計段階で調整しています。
同様に蝶番も、溝と干渉しないように調整しています。蝶番は買い出しの時点で入手できるもののサイズを調べておき、それに合わせて溝の間隔を決定しています。
背の高いキャンプギアを収納するために、2段目の底板と側板は着脱可能にしています。
調理道具と一緒にスパイスも収容するため、2段目には着脱可能な仕切り板を設けています。
着脱可能にすることで、今後スパイスを収容しなくなった場合も、仕切り板を外して他のギアを収容することができます。
用途を限定しない設計をすることで、永く使えるものになるので、着脱の機能を取り入れるのがおすすめです。
オシャレで使い勝手の良いギアボックスが完成
使う頻度の高いスパイス類は、フタを開けるとすぐに取り出すことができ、サイズの大きなスキレットやケトル類は、下の段に収容するようにしています。
取り出したいものや場面に応じて、広げ方を変えることができるため便利です。
2段目のスパイスを収容するスペースは、12種類まで収容可能です。キャンプでこれだけのスパイス類が持ち運べれば、様々なキャンプ料理が楽しめそうです。
2段目の底板と側板を外すことで、ケトルやコップ、メスティンなど、背の高いギアを収容することができるようになっています。
1段目に背の高いギアを収容しない場合は、底板と側板を装着することで、2段目に他のギアを収容することも可能です。
オシャレなキャンプギアが注目される昨今、木製で見た目も良く、機能性も良いギアボックスは、オシャレキャンパーにはぜひおすすめしたいアイテムです。
自作することで、自分の持っているギアに合わせて作ることができて、さらに自分のこだわりの機能を付加することができます。
多少手間は掛かりますが、その分愛着の湧くギアボックスになります。
DIYが得意な方や、自分だけのギアボックスが欲しいという方は、ぜひ挑戦してみてはいかがでしょうか。