そして、最後の「ぽん」は、鎌倉で人気のケーキショップ「POMPON CAKES(ポンポンケークス)」の立道嶺央さんだ。三輪自転車でケーキを路上販売というユニークなスタイルから始まり、現在は鎌倉市内に実店舗「POMPON CAKES BLVD.(ポンポンケークス・ブールバード)」を構え、「オーガニックでジャンキー」な、毎日でもぱくぱく食べられるケーキを作っている。今日はコンフィチュール2種(いちご・甘夏)と、フルーツたっぷりのパンプディングを、ロケットストーブで調理するという。
イベントは朝10時開始、のはずだが、参加者が揃ったのはそれから30分ほど後のこと。こういう事態は鎌倉ではよくあることなので、誰も怒らないし驚かない。そんななか、西川さんはたまねぎを刻んだり、じゃがいもを茹でたり、下ごしらえをてきぱきと進めている。だいたいの人が集まったところで、まずは日高さんから簡単な説明が。今回のイベントは、ただ見学するだけでなく、実際に調理に参加して、完成した料理を食べる、という一連の流れを楽しんで欲しいとのこと。
それでは、イベントのはじまりはじまり。
すでにおいしそうな香りを放つのはパエリア。たまねぎとお米を炒めたあと、サフランやほかの具材を入れて蓋をして、待つこと30~40分で炊き上がるそうだ。
ソーラークッカーといってもさまざまな形がある。放射熱で調理をするパラボラ型は、中央部に集めた太陽光の熱で、炒めたり煮込んだりする。オリンピックの聖火に火をつける集火器をヒントに、200年前にソーラークッカーの形が作られたのが始まりだと、西川さんから教えていただいた。また、パラボラ型のソーラークッカーは、ネパールやチベットの電気やガスの通っていない山間の土地で、煮炊きするのに実際に用いられている。
蓄熱式のソーラーオーブンは、ホットケーキやクッキーなどお菓子作りに大活躍で、煮込み料理にも使えるスグレモノ。庫内の温度計は170度を指している。この温度をキープできるなら、たいていの焼菓子が作れそうだ。
パラボラ型、蓄熱式の両方に言えることだが、熱を吸収しやすい黒い鍋を使用するのが鉄則。それから目の日焼け対策となるサングラス着用も必須だ。
ときどき鍋の中身をチェックしたり、太陽の動きに合わせてソーラークッカーの角度を調整したりすれば、基本的には放っておいてOK。調理の最中に曇り出して、なかなか温度が上がらないときは「鍋をガスの火にかけて温めればいいんだから、太陽光だけにこだわらなくてもいいのよ」と西川さんは笑って話す。
きらくなたてものや
http://www.kirakunat.com/
ソーラーハウスにしかわ
http://www.netlaputa.ne.jp/~toynishi/
POMPON CAKES
http://pomponcakes.com/
旅音(たびおと)
カメラマン(林澄里)、ライター(林加奈子)のふたりによる、旅にまつわるさまざまな仕事を手がける夫婦ユニット。単行本や雑誌の撮影・執筆、トークイベント出演など、活動は多岐にわたる。近年は息子といっしょに海外へ出かけるのが恒例行事に。著書に『インドホリック』(SPACE SHOWER BOOKS)、『中南米スイッチ』(新紀元社)。
http://tabioto.com