発売直前!Hinotoを使ってみた
ウインドマスター、ストームブレイカーなど風にも負けない元気な青い炎が印象的な新富士バーナーより、小型ランタン「Hinoto」が発売される。「Hinoto」はマントルのない揺れる赤い炎が特徴だ。赤い炎は不完全燃焼で不安定だからと避けてきた新富士バーナーが、あえて取り組んだ「Hinoto」とは? 発売前のサンプルを借りて一足先に試してみた。
廃盤になったG−ランプソリッド(4.7×6×H13.8cm)に似た円筒形だが、ごついG−ランプに比べてずいぶんスリムになり、デザインもスッキリ洗練されているのが今どきっぽい。スリムなのでスタビライザーがないと不安に思えるがタンク部分がズッシリ重く、重心が低いため簡単には倒れそうにない。
Hinotoはホヤを包むカバーがあるものの、ハードケースはない。持ち運びのときには黒いスペーサー(写真左)をタンクとホヤの間に挟むことで、ホヤが他のものに押されて割れるのを防ぐ。同時に、ガス調整ツマミが不意に回ってもガスが出ないようにできるという。
使用時はこのスペーサーが不要なので取り外し、下部のタンクにガスを充填する。
CB缶とライター用のガス缶は先端が細長いけれど、OD缶は接続部分の径が太い。そのためOD缶からHinotoタンクに充填するには、G−ランプ同様、別売のアダプターが必要となる。そのまま充填できないのは残念だが、あと少しだけ残ったガスを利用できるのでSOTOユーザーは利用価値が高い。
タンクの底と側面はつなぎ目のないアルミ製で、上側は真鍮製。さすがにていねいな作りで安心できる。
Hinotoにガスを充填して着火
タンクへの充填はG−ランプ同様、驚くほど原始的だ。CB缶の先端をタンクの穴に差し込んで真上からまっすぐ押し込むだけ。インジケーターなどはなく、脇の切れ目からガスが吹き出せばそれが満タンになった合図なのだから。当然だけれど焚き火脇など火を扱っている場所では避けるべき作業だ。空っぽから満タンまでの時間は約8秒。
G-ランプに付いていた点火スイッチはなく、オンオフ切り替えと炎の高さ調節は黒いリングで。リングを回せばガスが出るので、そうしたらマッチなどで火を付けるというこちらもシンプルな仕組みとなっている。
気をつけたいのが、黒いリングを回しきったように思えても、さらに回せるということ。少し引っかかりを感じる場所があるが、そこでリングを止めてもうまく着火できないので注意したい。とはいえ、保管時にうっかりリングが回ってもガスがもれないという安全面に配慮した仕様なのだろう。
安定した炎の秘密は”コイル”
炎の吹出口は、ライバルのノクターンやルミエールランタンが筒状なのに対して、Hinotoはコイル状だ。新富士バーナーによると「理屈はうまくいえないけれど、コイルにすることで炎が安定する」。確かに、寒い日や風の強い日など炎があまり大きくはならないことがあるのだが、それでも消えることなくチロチロと輝いていた。
G−ランプと異なり、OD缶を直接取り付けられるのは大きな進歩だ。タンクでは1〜2時間の点灯だが、OD缶取り付け時は容量が増えるので105g缶で約9時間、250g缶なら約20時間使えるそう。また、OD缶を取り付けると寒い日でも安定した高い炎が上がる。
キャンプでランタンが必要な時間を考えてみると、夏で4時間程度、冬なら6〜7時間程度。自宅で充填しておき、キャンプ場ではバーナーの燃料を借りて1回充填すれば十分な計算だが、寒い時期は炎が頼りなく感じることもある。タンクを握ってしばらくすれば復活するが、冬はOD缶を取り付けることを前提としたほうがいかも。
OD缶装着時には無理だが、ガスを充填して使う場合は底のネジ山を使って三脚にのせることができる。狭いテーブルでランタンまでは乗り切らないようなときに使えそう。
キャンドルのような炎のHinotoは、メインの明かりには物足りないが、卓上で手元を照らすのには十分だ。マントルの予備を持たなくていいし、自宅で使ったカセットガスを充填して持っていき、キャンプ場でガスがなくなったらストーブのOD缶から燃料をもらう。そんな柔軟な使い方ができるのがいい。
【問】新富士バーナー http://www.shinfuji.co.jp