スマホの普及に伴い、「登山用のGPSアプリ」は近年、急激な進化を遂げています。そこで今回は数あるGPSアプリの中でも「ジオグラフィカ」の便利な機能や使い方などをご紹介していきます。
登山用GPSアプリの種類
登山用のGPSアプリは、近年いろいろな種類が登場しています。まずはその代表的なアプリを紹介いたします。
・山と高原地図
・ヤマレコMAP
・YAMAP(ヤマップ)
・ジオグラフィカ
いずれのGPSアプリも機能、GPS精度、視認性などに大差はありません。しかし、それぞれの特徴があり、「ルート」や「場面」によって使い分けをする必要があります。
山と高原地図
登山用の紙の地図では定番の「山と高原地図」のアプリです。コースタイムの表示や、ルート上の情報などが豊富に載っているので、計画を立てる際には、とても使いやすいです。しかし、有料なのが難点です。
ヤマレコMAP
登山の記録や、コミュニティ内での交流ができ、登山計画書も、アプリ内で提出できるのが便利です。こちらは、ほとんどの機能を無料で使うことができます。
YAMAP(ヤマップ)
水場や、コースタイムの入った地図が、無料でダウンロード可能。活動記録がつけられて、コミュニティ内で交流もできます。こちらもほとんどの機能が無料です。
ジオグラフィカ
上記3つと比べると、とてもシンプルな「地図専用アプリ」という印象です。本来の目的である地図を読む、という点では優位性があり「地図読み」の力も養ってくれます。また、ほとんどの機能を無料で使うことができます。
これらの素晴らしいアプリの中でも、著者は「ジオグラフィカ」を愛用しています。(状況に応じて、その他の地図アプリも時々使います。)今回は「ジオグラフィカ」を使う理由を紹介いたします。
ジオグラフィカを選ぶ4つの理由
著者が「ジオグラフィカ」を選ぶ理由は、下記の4つのことが挙げられます。
1. 国土地理院の地形図を利用していること
2. 豊富な地図の見方(オーバーレイ)
3. 地図のキャッシュが容易
4. ロックオン機能(目的地までの距離)
この理由をそれぞれ説明していきます。
国土地理院の地形図を利用
ジオグラフィカの地図は、国土地理院の地形図を使用しています。国土地理院とは、日本で唯一の国家地図の作成機関であるため、とても信頼できます。
時々、他のアプリも使用しますが、比較した際に地図が異なっている場合があります。そういう時には、私はジオグラフィカの地図を信用して行動しています(他のアプリでも、国土地理院を使用している場合もあります)。
豊富な地図の見方(オーバーレイ)
ジオグラフィカでは、地図の見方が4種類あります。オーバーレイ機能として、それぞれ設定で変えることができます。目的や状況に応じて使い分けます。
色別標高図
標高別に色分けされるので、一般的な白地図より見やすいです。登山中に、現在地の確認や、ルートを確認する際に使います。
雪崩傾斜
雪崩が発生しやすい傾斜の斜面などが、赤や黄色で色分けされます。危険個所を可視化できるので、特に冬山や残雪期の登山では役立ちます。
陰影起伏図
陰影が表示され、起伏、尾根、谷などの地形が、より見やすいオーバーレイです。一般的な地形図だと、等高線の間隔や曲がり具合で地形を判断しますが、視覚的にも地形が分かりやすいのが特徴です。
赤色立体図
傾斜量を赤色の彩度によって、立体的に表現するオーバーレイです。地形を地図上で、立体的に捉えることができます。周辺の地形を把握するのにとても役立ちます。
地図のキャッシュが容易
ジオグラフィカでの、地図のキャッシュが非常に簡単です。一度、その地図(ルート上)を閲覧すればキャッシュとして残り、再閲覧が可能になります。他のアプリだと、地図のダウンロードなどが必要になる場合があり、通信料が負担になったり、時間がかかったりします。
注意すべき点としては、キャッシュは期間や容量に制限があり、古いものは消えてしまいます。登山をする前に、一度電波のあるところで、目的の地図を閲覧して、キャッシュを残しておく必要があります。
ロックオン機能
ジオグラフィカには「ロックオン」という機能があります。例えば、山頂や小屋などの目的地を設定すると、現在地から目的地までの直線距離、高低差、目安の時間などが、瞬時に表示されます。
通常は地図上(画面上)で、目的地までの長さを測ったり、等高線の数を数えたりして、その距離を算出します。登山中に目的地までの距離を意識する場面は多いので使用頻度が高い機能です。
ジオグラフィカはどのような人に向いているのか
それでは、このアプリはどんな方に向いているのでしょうか。特にオススメしたいのは、下記の目的に山に入る方々です。
- 里山登山
- 山菜取り
- バックカントリー
- バリエーションルート
- 沢登り
- キャンプ場周りを散策
- 登山初心者
最後の登山初心者は、少し意味合いが違いますが、それぞれで共通して言えるのは「明確な登山ルートがなく山に入る」ということです。
里山登山
里山には登山ルートは一応ありますが、アルプスなどの人気の山などと比べると、登山道が明瞭ではありません。そのため、道迷いを防ぐためにも、GPSによる現在地の確認と地形を読む力が必要です。
山菜取り
山菜取りをしていると、熱中しすぎて、気づいたら自分が今どこにいるのか、分からなくなってしまうことがあります。分かっていても毎年数多くの遭難が発生しています。
バックカントリー
山に登って、スキーやスノーボードで、山を滑走するバックカントリー。フワフワな新雪を求めて山に入る方は、ここ数年で急激に増えています。その一方で、遭難なども多く報告されています。
バリエーションルート
登山道ではないルート(尾根など)を登って山頂を目指す、バリエーションルートは高度な地図読みの知識と、登山技術が必要な登山です。当然、道のないところを歩いて山頂を目指すので、一歩間違えたら即遭難です。
沢登り
沢を詰めて、山に登るという特に夏に人気の登山スタイルです。沢の分かれている個所や、登れない滝などが出てきた際は、地形をしっかり見極めて行動する必要があります。
キャンプ場周りの散策
キャンプ場周辺の遭難も、毎年必ずあります。特にキャンプ場周辺は平坦な地形のところが多く、目印となる地形も少なく「地図読み」は極めて困難です。
登山初心者
最近は地図アプリやGPSが進歩しており、「地図読み」に関して希薄な登山者が増えているのが現実です。登山には「地図読み」の知識や力は必要不可欠で、登山をはじめる頃から地図に慣れていくことが大切です。
一般的な地図では、地形などが読み取りにくいため、地形が分かりやすい地図を使って「地図読み」の力を養っていきましょう。
遭難の理由で一番多いのは「道迷い」
近年、登山者が増える一方で、遭難の件数も同時に増えてきてます。
GPSアプリが、簡単に手に入る時代だからこそ、GPSに頼りすぎてしまう人が多く存在します。GGPSは便利ですが、「もし電池が切れたら?」「携帯を落として壊してしまったら?」「急な雨で水没してしまったら?」ということを想定して、準備をする必要があります。
まずは、「スマホの予備電源の確保」「防寒対策」「防水対策」などをしっかり行ない、スマホを使い続けられるよう対策をとっておきましょう。そして、スマホやGPSアプリが起動しなくなったことも想定して、紙の地図も準備することをオススメします。
ジオグラフィカは、地図(地形図)アプリとして信用ができ、シンプルで使いやすい、といったところに私は優位性を感じています。特に、行動中に現在地やルート確認、周辺の地形の確認をしたりするにはかなりオススメです。
GPSアプリを使って、快適な登山の一助としていただき、遭難防止にお役立ていただければ嬉しく思います。