『思い立ったが絶景 世界168名所を旅してわかったリアルベスト』(朝日新書)という本で、世の中にある多数の絶景本を分析しつつ、自分自身の経験に基づく絶景のランキングや旅の提案をしている旅行作家、吉田友和さん。インタビューの後半では、吉田さん自身が実際に訪れた中国の絶景スポット、黄龍と九寨溝への旅のエピソードなどを中心にお話を伺います。
——今回の本では、吉田さん自身の経験に基づく客観的な視点で選んだ絶景ランキングベスト20を紹介されていますが、たとえば「絶景」という縛りではない、吉田さんおすすめの旅先のランキングをつけるとしたら、どうなるでしょう?
吉田友和さん(以下吉田):総合ランキングみたいな視点でやったら、全然違う結果になるでしょうね。1位タイ、2位台湾、3位はフランスとか、ベトナムとか……自分の好きな国がランクインしそうです。その土地の文化、食べ物、買い物……物価とか、気候とか、人がいいとか、いろんな尺度があるんでしょうね。
——普段はどんな風にして旅先を決めているんですか?
吉田:最近はあまりこだわりはなくて、割と成り行きで。この間読んだ本に面白そうな場所が出てきたから、行こうかなとか。
——毎月のように海外に出かけられていますよね。フットワークの軽さがすごい……。
吉田:僕はもともとは割と腰が重い方だったんです。今は「どこにでも、行こうと思えば行ける」とわかっちゃったので。たとえば、「明日タイに行け」と言われて、ゼロの状態からタイに行く準備をしなければならないとしても、知識がなければすぐには準備できないですよね。今は普通にネットでぽちっとやって、ちゃちゃっと荷物をまとめて空港に行けば、タイまで行けるとわかってますから。行ったことのない国でも、どうやったらそこまで行けるかというイメージは何となく浮かびますね。
——今回の本の後半で書かれている、中国・四川省にある絶景スポット、黄龍と九寨溝への旅も、すんなり準備できたんですか?
吉田:もう、パッと。成都という街から飛行機に乗っていけば着くのはわかっていましたし。今は中国の国内線もネットで予約できるようになったんですよ。今回は3泊4日の日程で行きました。四川省は、中国の中でも一番好きな地域なんです。三国志の蜀とか、四川料理とか、日本人にも楽しめる要素がいっぱいあって、面白いと思います。中国は前にしばらく通っていた時期もあったんですが、最近はあまり行ってませんでした。
——ひさしぶりの中国、いかがでしたか?
吉田:都市部はそれほどでもないんですけど、田舎まで行くと、未だに結構面倒なことがありますね。特に、割り込み。本にも書きましたけど、空港のチェックインカウンターの列にも割り込んでこられましたしね(笑)。言葉も通じない場面が多いですし。
——体調は問題なかったですか?
吉田:黄龍は標高が高い場所だったので、高山病がきつかったですね。急に移動したので、疲労もあったと思います。ちょっと無茶しすぎました。九寨溝ではだいぶ高度が下がったので楽になりましたが、食欲は全然なくて、ハンバーガーとかでしのぎました。帰りに成都まで戻ってきた頃にはだいぶ元気になっていたので、大好きな陳麻婆豆腐(麻婆豆腐の発祥の店)にも行きましたけど。