大自然を自由気ままに滑れるバックカントリーは、年々人気が高まり、注目度が増してきています。バックカントリーを始めたいと思っている方に向け、今回はどのような装備を揃えれば始められるか、ご紹介いたします。
バックカントリーに必要な装備とは?
バックカントリーは、ゲレンデで使っているスキーやスノーボードでも滑ることができます。ただし、深い新雪ではファットスキーやパウダーボードという、新雪を滑るために作られたものでないと滑るのが難しいこともあります。
なお、初心者にオススメなのは春スキーです。4月以降はザラメ雪となり、ゲレンデできれいに整備されたような滑り心地で、特別な滑走技術がなくても楽しめます。
スキーの場合
バックカントリーでスキーを始める場合は、以下の装備が必要です。
・バックカントリー用ビンディング
・バックカントリー用ブーツ
・シール
バックカントリー用ビンディング
バックカントリーでは、スキーでも歩き易い踵の上がるビンディングが必要です。ここ近年は軽量化が進み、バックカントリーでは「ピンテックビンディング」が主流となっています。ピンテックビンディングとは、ブーツのつま先にピンを固定して、可動できるビンディングです。
バックカントリー用ブーツ
バックカントリー用ブーツは「ウォークモード」の切り替えがあります。ウォークモードにすると、足首の可動域が増して歩きやすくなります。またバックカントリー用のブーツは、一般的なアルペンブーツより軽く、長時間歩いていても疲れにくいのが特徴です。
シール
登る時には、滑走面に滑り止めのシールを貼って登ります。これがあれば、ある程度の斜面でも登ることができます。
シールは起毛しており、雪に引っかかって滑りにくくなっています。前進方向には起毛が引っかからないようになっているので、ちょっとした斜面では滑ることもできます。
バックカントリースキーをもっと手軽に始められないのか?
バックカントリースキーを始める場合は、「ビンディング」「ブーツ」「シール」を準備しなければなりません。当然これらがあれば快適なのですが、最低限で始めたい方は別の方法もあります。
それは、「アルパイントレッカー」を使う方法です。アルパイントレッカーとは今お使いのビンディングに装着するだけで、踵が可動するようになる道具です。ですのでこの「アルパイントレッカー」と「シール」だけあれば、バックカントリーを始めることも可能です。
ただし、装備が重たくなってしまいますし、ブーツもアルペン用だと足首の可動域は狭く体力と筋力が必要となり、長時間歩くルートには向かなくなりますので、あまりオススメできません。
スノーボードの場合
バックカントリー・スノーボードで必要な装備は以下になります。
・スノーシュー
・ストック
バックカントリーでスノーボードを始める場合、準備する装備は少なく済みます。
板やブーツはゲレンデで使っているものがそのまま使えます。また、スノーボードでは「スノーシュー」に履き替えて登るのでシールも要りません。
スノーシュー
スノーシューとは昔で言う「わかんじき」の現代版のような装備です。深い雪や柔らかい雪でも、沈みにくく歩きやすいのが特徴です。スノーシュー自体に、滑り止めの金具が付いおり、ある程度の斜面でも登る事ができます。
実質スノーシューだけ買えば、バックカントリーができる、と言っても過言ではありません。
ストック
一般的にゲレンデでスノーボードをするときには、ストックを持つことはありません。しかし、バックカントリーでは、ストックはあった方が良いです。
その理由としては、下山する工程で平坦なところを滑る状況も必ず出てきます。そういった場合に、ストックがないとボードを外さなければなりません。ストックがあれば、スキーにように漕いで平坦な道でも移動できます。また、登る時にもストックを使った方が圧倒的に楽です。
スノーボードで機動力を上げるスプリットボード
スノーシューを使っても、深い雪では思うように歩けない場合があります。そこでスノーボードが半分に割れて、登る時はスキーと同じように歩くことができる「スプリットボード」という、スノーボードがあります。歩行時の浮力が増して深い雪でも難なく歩け、機動力は飛躍的に上がります。
スプリットボードを使用する場合は、スプリットボードの他にビンディング、そしてシールが必要になります。
共通して必要な装備
スキー、スノーボードに限らず、共通して必要な装備もいくつかあります。
雪崩対策の装備
・ビーコン
・プローブ(ゾンデ棒)
・スコップ
これらは、アバランチ(雪崩)の3種の神器とも言われ、万が一雪崩に遭遇した時に必要な装備です。バックカントリーに行く際に持っていなければ、ルール違反で周りの登山者からも白い目で見られることになります。
ビーコン
プローブ(ゾンデ棒)
スコップ
その他の装備
バックカントリーはあくまでも登山なので、急な斜面や危険な場所も出てきます。そういった場合にも対処できる装備が必要です。
アイゼン
斜度が急だったり、凍ってシールやスノーシューが効かない時にはアイゼンが必要です。
また、アイゼンには「ハーネス」「ワンタッチ」「セミワンタッチ」の3種類があります。スノーボードブーツはハーネスタイプでしか装着ができないので要注意。スキーのブーツではどのタイプでも装着ができます。
ピッケル
アイゼンが必要な場所ではピッケルも必要となります。バックカントリーではアイゼンとセットで持っていきます。
バックカントリー用のバックパック
一般的な登山用のバックパックでも問題ありませんが、最低限スキーやスノーボードの板を装着できるものを選びましょう。サイズ的には、30~40Lくらいのものがオススメです。
服装について
基本的にはゲレンデ用のウェアでも支障ありません。ただし、あくまでも冬山登山ですのでインナーは、速乾素材の保温性の高いものを選ぶようにしましょう。また、汗や雪で濡れてしまったグローブが吹雪にさらされれば指先の冷えに繋がり凍傷なんてこともあります。替えのグローブもあった方がいいでしょう。
その他にも、行動中はゴーグルでは暑く、また裸眼では強い紫外線の影響で雪目になってしまうため、サングラスも携行しましょう。バックカントリーでは樹林帯が多く、木への激突に備えてヘルメット着用することをオススメします。
まとめ
今回はバックカントリーを始めるのにあたって必要な装備をご紹介してきました。装備も大切ですが滑走技術も重要で、まずは最低限ゲレンデでは、どんなコースに入っても滑れる滑走技術があることが望ましいです。その点を考慮してチャレンジしてみてください。山には素晴らしい景色と最高の斜面が待ち受けています。