意外と知らない?カラビナの種類と使い方を徹底解説
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    2021.04.09

    意外と知らない?カラビナの種類と使い方を徹底解説

    私が書きました!
    山岳指導員(アルパインクライミング)
    ミツル
    山と自然に囲まれた長野県在住。登山では日本体育協会公認・山岳指導員(アルパインクライミング)の資格を持つ本格派。登山、バックカントリー、フリークライミング、アルパインクライミング、沢登りと山に関する遊びが生きがい。2児の父親をしながら、アウトドア系のフリーライターとして活躍中。

    カラビナと一言でいっても種類はたくさんあります。アウトドア用品店などに行っていざ買おうと思っても形や種類が沢山ありすぎて迷ってしまいます。カラビナは用途によって、使い分けをする必要があります。その種類と用途などを紹介していきます。

    カラビナの基礎知識

    カラビナの名称について。

    まずは、カラビナとはどのようなものなのか知る必要があります。それでは、名称から見ていきましょう。

    ゲート(シャフト)

    Aの部分の事で、開閉するの部分のことを言いいます。カラビナにロープやスリングを通すときに使います。

    スパイン

    Bの部分で、カラビナ本体の背に当たる部分です。

    ノーズ

    Cの部分で、ゲートを引っ掛ける部分の事を言います。

    この他にも細かい部分(パーツ)の呼び方がありますが、まずは上記3点を覚えれば問題ありません。

    カラビナの強度

    カラビナの強度表示。

    カラビナの強度は、カラビナ本体に記載されています。カラビナはモノによって、若干強度が異なります。

    縦(長い)方向の強度

    カラビナに荷重をかける場合は、縦方向に荷重がかかるように使います。強度の表記を見てもらえば一目瞭然ですが、縦方向が一番強度が強いです。

    このカラビナの場合、縦方向には24kN(約2,400kg)の荷重に耐えられることを意味します。

    横(短い)方向の強度

    このカラビナの場合、横方向には8kN(約800kg)の荷重に耐えられます。しかし、縦方向の強度に比べると、強度は約3分の1程度の強度となります。カラビナは横方向の力に弱く、この状態で荷重が掛かることを「マイナーアクシス」と呼びます。この場合、カラビナが破断する可能性があるので、使用する際には、マイナーアクシスにならないように気を付けます。

    オープンゲート

    カラビナのゲートが開いたようなイラストは、ゲートが開いた状態(オープンゲート)での強度を表しています。この場合は縦方向でも7kN(約700kg)と3分の1以下になります。

    横方向と同様に、耐荷重は弱くなるので注意が必要です。一般的に、ゲートはバネの力で閉まるので、ゲートが開いている状態になっていることはあまりありません。ただし、古いカラビナでバネが壊れてしまった場合や、ロープやスリングがゲートに挟まった状態だとオープンゲートとなります。

    カラビナの種類

    それでは、カラビナの種類について説明していきます。

    カラビナの形

    変形D型(オフセットD)

    変形D型(オフセットD)のカラビナ。

    一般的によく目にするのが、このタイプになります。ロープなどの荷重を(カラビナの)1か所に集められます。一般的な荷重の場合にはこのカラビナを用いることがほとんどで、力点はセンターよりスパイン側になります。

    HMS型

    HMS型のカラビナ。

    洋ナシ型の形をしたカラビナです。ムンターヒッチ(イタリアンヒッチ・半マスト結び)などをする場合には、必ずこの形のカラビナを使います。ムンターヒッチは、結んだコブがひっくり返ることによって制動を掛けますので、コブがひっくり返るだけのスペースが必要です。

    その他にも、ビレー、クローブヒッチ、懸垂下降をする際はHMS型のカラビナを使います。

    HMS型のカラビナには「H」の表記があります。

    オーバル型

    オーバル型のカラビナ。

    文字通り楕円の形をしていて、力点はカラビナのセンターにかかります。真下に荷重が掛かる場合や、1対1で荷重が掛かるような場合には、オーバル型のカラビナを選択するといいでしょう。また、幅の広いスリングや、プーリーなどを使用する場合にも適しています。

    ゲートの種類

    ストレートゲート

    ストレートゲートのカラビナ。

    ゲートがまっすぐな形状で、一般的によく使われるタイプのカラビナです。ウィップフラップ現象(衝撃で一瞬オープンゲート状態になる現象)が起こりやすいので注意が必要です。カラビナの重量が重たくなるので、目的によって使い分けることが重要です。

    ベントゲート

    ベントゲートのカラビナ。

    ゲートのシャフトが曲がっている形状のものを言います。ロープをクリップ(通す)しやすいというのが特徴です。ロープを掛けるような状況では頻繁に使われます。注意点としては、ロープがクリップしやすい反面、墜落した際にロープが抜けてしまう可能性も高くなります。

    ワイヤーゲート

    ワイヤーゲートのカラビナ。

    ゲートがワイヤーの形状になっています。冬季でも凍りにくく、ストレートゲートに比べて軽いというメリットがあります。しかし、ノーズ部分にワイヤーを引っ掛ける為の溝があり、ロープやスリングがその溝に引っかかりやすいというデメリットもあります。

    ワイヤーゲートのノーズには溝がある。

    一般的なノーズの形状。

    溝に引っかかりにくく改良されたモデル。

    改良されたノーズは厚みが増すというデメリットも。

    安全環付きカラビナ

    安全環付きカラビナとは、勝手にゲートが開かないようにロック機能が付いたカラビナの事を言います。ロックの方法には大きく分けて2種類あります。

    オートロックタイプ

    オートロック機能のカラビナ。

    自動的にロックがかかるので、ロックを閉め忘れることがありません。しかし、片手では操作しにくいタイプもあるので、実際に操作性を確かめた上で購入した方が良いでしょう。

    ちなみに、操作性が良いということは、何かの拍子で空いてしまう可能性が高くなるということです。

    スクリュータイプ

    スクリュータイプの安全環。

    スクリューを回してロックするタイプで、片手でも操作がし易いのが特徴です。ただし、ロックの閉め忘れや、ロープがこすれてスクリューが回り、ロックが外れてしまうということもあります。

    また強く締めすぎるとなかなか緩まず、両手を使わなければならない状況も出てくるので注意が必要です。

    カラビナを使う上での注意点

    カラビナは、命を守ってくれる大切な装備です。しかし、使い方を誤ると本来の性能(強度)を出せずに、危険な状況を招く場合があるので注意しましょう。

    マイナーアクシス

    まず、前述したマイナーアクシスは、特にハーネスにつないだ時に発生することが多いです。ビレーをする際や、懸垂をする際にはカラビナに対し、しっかり縦方向に力が掛かっているか確認します。

    金属疲労

    カラビナは金属製なので、経年劣化や衝撃を受けることで、細かい亀裂が入ります。そうなると期待する強度にはならず、カラビナの破断に繋がります。定期的なチェックを行なうことが大切です。

    また、やむを得ないケースも多々ありますが、カラビナにカラビナを掛けるような、金属と金属を連結することは極力控えた方が良いです。

    金属に掛けることによって傷ができる。

    カラビナの摩耗

    カラビナはロープでも摩耗します。ロープがカラビナの同じ部分を、何度も何度も強い力で擦ると、カラビナは摩耗していきます。

    ロープが擦れて摩耗したカラビナ。

    カラビナがすり減っているのが分かりますでしょうか?

    正直この程度でしたら問題ありませんが、ひどい場合には、カラビナのフレームの肉厚が、半分ほどになってしまうということも決して珍しい事ではありません。傷や金属疲労だけでなく、すり減っている状況も定期的に確認しましょう。

    まとめ

    今回はいろいろな種類のカラビナと、その特徴を紹介してきました。ここで紹介したものが、すべてではありませんが、最低限上記ことが分かっていれば、実際に自分がどんなカラビナが必要か、自ずと分かってきます。

    オールラウンドに使えるカラビナというものは存在せず、適材適所のカラビナを選ぶ必要があります。知識だけでなく経験も積みながらカラビナの理解を深めていっていただければと思います。

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