堂々とした角を持つカブトムシは夏の風物詩で、子どもはもちろん大人にも人気の昆虫です。大きく立派なカブトムシの成虫になるには、秋から冬にかけての幼虫時代の育て方が重要といえます。幼虫の入手方法や飼育に必要なものを紹介しましょう。
カブトムシの幼虫はどこで手に入れる?
カブトムシの幼虫を入手するには、店舗で購入する、成虫に卵を産ませるといったパターンがあります。それぞれメリットと注意点があるので紹介します。
ホームセンターや通販などで購入
カブトムシの幼虫はホームセンターなどの実店舗でも購入できますが、最近はネット通販も増え、手軽で便利になってきています。5〜9月ごろは販売が終了している可能性があるので、10〜11月ごろに購入するのがベストです。
ネット通販で購入する場合は、届いた幼虫が死んでいた場合の補償である「死着補償」があるかを確認しましょう。また、確実に受け取れる日時を指定することで、幼虫への負担が軽減できます。
ネット通販では実物を確認できないので、実際に購入した人のレビューも参考にします。さらに、可能であれば3匹以上まとめて購入するのがおすすめです。1匹の場合よりも、無事に羽化まで育てられる確率や、成虫の性別が希望通りになる可能性が高くなります。
メスに卵を産ませる
成虫になったオスとメスを同じケースで育てていると、ほとんどの場合は交尾をして産卵します。メスの成虫が昼夜問わず何日もマットに潜っている状態であれば、産卵している確率が高いでしょう。
1.5mm〜3mm程度の白い球体があればそれが卵です。産みたての卵は1.5mm程度で、成長とともに3mm程度まで膨らみます。孵化する前にそっと取り出し、別の飼育ケースに移しましょう。成虫が卵を傷つけてしまうのを避けるためです。
孵化したばかりの幼虫は小さいので、最初は手のひらに乗る程度の小さなカップで十分代用できます。ただし、大きくなる前に飼育ケースに移動させる必要があるので、それまでにはケースを準備しておきましょう。
幼虫期の育て方
大きなカブトムシに育てるには、幼虫のころにどれだけ大きくなるかで決まるといわれています。立派なカブトムシに育てるために、幼虫の基本的な育て方を紹介しましょう。
幼虫の飼育に必要なもの
幼虫を育てる際に必要なのは、飼育ケースとマットです。野生のカブトムシの幼虫は、腐葉土や朽木を食べて成長します。家庭で育てる場合は腐葉土の代わりとして、土に似たエサ用マットを飼育ケースに敷き詰めます。
飼育ケースのサイズは、1匹だけであれば1000ml程度の透明なボトルなどでも問題ありません。重要なのは、マットを10cm以上に保てる深さがあることです。
カブトムシはサナギになるタイミングで、縦に長い空間が必要になります。そのためマットに十分な深さがないと、変形してしまったり羽化がうまくいかなかったりして、死んでしまう可能性が高くなります。複数を一緒に飼育するのであれば、窮屈にならないようにゆとりのある環境が必要です。
3匹までなら市販のクリアケースSサイズ、4〜6匹であればMサイズ、7〜10匹はLサイズがおすすめです。この他にも、必要に応じて、栄養価の高い幼虫フードや、マットを乾燥させないための栄養入り保水液などを用いることにより、大きく育てるサポートができます。
飼育中の温度、湿度
国産のカブトムシの幼虫は寒さに強いといわれていて、0度C以下の環境でも問題はありません。しかし心配であれば、氷点下にならないような場所で飼育しましょう。
直射日光が当たらず、温度が急激に変化しないような薄暗い場所が最適です。あまり暖かい場所で育てると、春先など、本来よりも早い時期に成虫が羽化してしまうことがあります。
また、飼育ケースのマットは手で握っても形が崩れないような、しっとりとした状態がベストです。
サナギになってからの注意点
飼育環境や個体により時期は多少異なるものの、4月ごろにはサナギになるための「土まゆ」を作り始めます。そして4月後半には、「前蛹(ぜんよう)」という状態になります。
このころはエサをあまり食べないので、マットの交換は控えましょう。土まゆは二度と同じものを作れないので、マット交換をする際に誤って壊してしまうことのないようにします。
6月ごろにはサナギになりますが、このタイミングが最も大切な時期なので、衝撃などを与えないように飼育しましょう。
カブトムシの幼虫にまつわる豆知識
最後に、カブトムシの幼虫を育てる際に役立つ豆知識を紹介しましょう。
マット交換のタイミング
カブトムシの幼虫は、マットの表面部分にふんをします。表面がふんで覆われている場合は、そうじをするタイミングです。マット内のエサ部分が減っているため、ふんを取り除き、新しくマットを追加しましょう。
時間をかけて交換作業ができるのであれば、マット全体を1~2mmの目のふるいにかけて、ふんのみを取り除く方法がおすすめです。またマットから異臭がする場合は、再発酵が起きていることも考えられます。ガスが発生し酸欠と高温という危険性があるので、速やかに交換しましょう。
交換後にいつまでもマットの中に戻らない幼虫がいれば、マットの水分量などが幼虫にとって適切でない可能性が考えられます。マット交換時にはこういったトラブルが起こりやすいので、交換直後は特に注意して様子を観察しましょう。
オス、メスの見分け方
幼虫は成長してある程度大きくなると、オスとメスが判別できるようになります。比較的簡単なのは、幼虫のおなかにある印で判断する方法です。
国産のカブトムシなら「V」の印があればオスになります。一方、おなかに印がなければメスの可能性が高いでしょう。
カブトムシの幼虫に似た虫に注意
カブトムシの幼虫に似た虫として、カナブンの幼虫が挙げられます。見た目は非常に似ていますが、体にある気門という点々の色合いがカナブンの方が薄いのが特徴です。
さらに、カブトムシに比べて長くフサフサした体毛が生えており、頭の両側に斑点があります。カナブンの方が頭が小さく、色が薄いことも見分ける際のポイントです。
まとめ
親子でカブトムシの幼虫を育ててみることで、子どもに命の大切さを教えてあげることができます。自然に対する興味・関心を持たせることにもつながるでしょう。立派なカブトムシの成虫になることを目指して、マットや飼育環境に注意しながら丁寧に幼虫を育てていきましょう。
監修/奥山英治