最新号『男前なブッシュクラフト入門』の特集もお見逃しなく!
BE-PAL最新号は、もうご覧いただけたでしょうか?この号では、『男前なブッシュクラフト入門』と題した小特集を組んでおります。ブッシュクラフトのスペシャリスト3名にご登場いただき、皆様の道具やスタイル、そして、興味深いテクニックを紹介しています。
ゲストの皆さまに共通するのは、シンプルな道具と自然のなかにある素材を使って、工夫しながら野外生活を楽しんでいるということ。その磨き抜かれた知恵とワザは、キャンプをより奥深いものにし、災害時でも生き抜く力となることを教えてくれています。
ここでは3名のゲストのなかから、イラストレーターのスズキサトルさんを紹介します。
宮笠にわらじ。それがスズキさんのスタイル
スズキさんの取材は、長野県松川村にある馬羅尾(ばろお)高原キャンプ場で行ないました。キャンプ場に到着するや、”宮笠”をかぶり”わらじ”を履いた男性が登場。それがスズキさんでした。
「宮笠は、山に入ったときに枝を避けてくれるヘルメットのようなもの。夏でも涼しく、日差しをさえぎる効果もあります。わらじは、ビブラムシートを切ってロープを通して自作しました。サーフィン用のネオプレーンのソックスを履いているから保温性が高く、沢を渡るときにも冷たさを感じません」
そう話すスズキさんは、山岳画を描くために山に登り、新しいブッシュクラフトの道具やワザを探るために野営をします。宮笠とわらじという個性的なスタイルも、ご自身が実用性を追求してたどりついた答えだそうです。
ビークフライとは?
この日は、スズキさんが考案した「ビークフライ」というフロア付きのシェルターの張り方を教えていただきました。タープの約4分の1を中に折り曲げ、そこをフットプリントに。背面のセンターをペグで地面に固定し、前面には枝で作った2本のポールを立てて雨や日差しをしのげるスペースを作り出します。
「普段は3×3mのタープを使いますが、今回は3×4.5mの長方形のタープを使ってみました。このサイズは寝るためのスペースの前に、煮炊きやクラフトができる広い土間のようなスペースまで作り出せるので快適に過ごせます」
スズキさんは、周辺に落ちていた枝でペグを作り、太めの枝で作ったハンマーでそれを打ち込みました。シェルター内の居住性を高めるため、後方にも枝で作ったポールを立てて、シェルターを引き上げています。流れるような動作でみるみるシェルターが完成しました。
「張った形が鳥の口ばしに似ていたんで、ビークフライと名付けました。設営が簡単で、雨や風の状況に合わせて、入口をクローズしてテントのように使うこともできます」
木のスツールも自作です
シェルターの準備ができるや、自作したという木のスツールを組み立て、ナイフで見事なフェザースティックを作り、焚き火の準備に取りかかります。
まるでアートのようなフェザースティック
「フェザースティックは、放射線状に削っていくフラワーと一方向に削るクラシックがあります。フラワーの方が簡単なので、こちらから試してみるといいと思います。最初は厚く、最上部から長いフェザーを作り、上にいくに従い、薄くしていくと着火しやすくなります」
スズキさんが作るフェザースティックは、もはやそれ自体がアートのように美しいもの。しかも、先端の短い部分にメタルマッチで着火するや、厚みを持たせたフェザーに向かってきれいに火が移っていきました。
ご紹介したいことはまだまだありますが、今回はこのへんで。ぜひ、7月号のブッシュクラフト特集記事もチェックしてください。
また、2021年6月8日から9月5日まで、長野県安曇野市にある田淵行男記念館で「野外道具と山岳画 スズキサトル ブッシュクラフト展」が開催されるそうです。スズキさんが考案したブッシュクラフトの道具や、山岳画が展示される貴重な機会です。ぜひ出かけてみましょう。
協力/馬羅尾高原キャンプ場
撮影/柳澤牧嘉
構成/山本修二