リーダーの話を熱心にメモしている女性たちがいました。「私たち5人は福島県の郡山から来たんですよ」と話してくれたのは佐藤さん。普段は地元の野鳥の会の探鳥会で鳥を見ているメンバーで、今回は旅の途中に都内の探鳥会にも参加。「この後は八ヶ岳方面に行くんですよ」と皆さん楽しそうでした。そうか、旅の行程に探鳥会を入れてみるとまた地域差を感じられていいのかも。いつもの森と旅先の森を比べて野鳥観察できるとまた新たな魅力に気付きそうですね。
あら!皆さんとおしゃべりしていたらヤマガラが近寄って来ました。人の手にも留まりそうな勢いで近づいています。ずいぶん警戒心のない野鳥だこと……と思ったら皆さんも喜ぶどころか苦笑い。
「これ、餌付けされてますね。良くないな」。野鳥好きの皆さんだからこそ残念な表情を見せていました。不用意に野生の生き物と人の距離を縮める餌付けは、生き物にも環境にも悪い影響を与えてしまう可能性があるのです。
さて、探鳥会の終わりには集合して「鳥あわせ」をします。つまり、本日見た鳥の総まとめ。2名以上が見ていれば生息が確認されたことになります。メジロにシジュウカラ、カワラヒワ、シロハラなど、リーダーが野鳥図鑑で姿を見せながら確認。生態や特徴なども説明してくれました。
そんな私たちの周りをアオジがチョロチョロ。参加した季節が冬鳥から夏鳥への入れ替わりの時期で「アオジもそろそろ見納めですかね」なんて声も。その後すぐ、北海道でアオジを見かけたという記事を見かけ(北海道では夏鳥)、日本列島の季節の違いを感じました。
今まで自己流の野鳥観察をしてきた筆者ですが、やはり詳しい方と一緒に歩くと鳥だけじゃなく草花や虫にも興味が湧きました。見るコツやマナー、見つけ方のヒントを教えてもらうとより視界が広がる気がします。四季を通じて参加すれば、鳥を通じて季節を感じられそうですね。探鳥会、オススメですよ。
日本野鳥の会が開催する探鳥会について詳しくはコチラ。アナタの町でも開催しているかも。
http://www.wbsj.org/about-us/group/tanchokai/
次回は本丸!「日本野鳥の会」事務所の訪問記をお届けします。
野鳥を見つけたら名前を知りたくなる。知るために必要なのは大きさや形をよく観察することでした。大きさがわかった時に入門編として役立つのがこの小冊子。ただいま日本野鳥の会でご希望の方にプレゼントしている「大きさでわかる おさんぽ鳥図鑑」です。スマートフォンやPCで各ページの野鳥の声を確認することもできますよ。お申し込みについてはサイトをご覧ください。
取材協力:公益財団法人日本野鳥の会
http://www.wbsj.org/
【問い合わせ先】
日本野鳥の会 普及室 普及教育グループ
TEL:03-5436-2622
日本野鳥の会東京
http://tokyo-birders.way-nifty.com/blog/
文・イラスト・写真/新岡薫(エトブン社)
札幌出身のイラストレーター。北海道の野生動物とそれらに関わる人々を取材しつつ、絵と文を描いて書いている。JR北海道車内誌にイラストコラムを連載。エゾシカ肉の有効活用や「狩りガール」の応援隊としても活動し、コミックエッセイ「狩りガールが旅するおいしいのはじまり」(講談社)を発売中。