キャデラックの最上級SUV「エスカレード」
エンジンの排気量を小さくして、燃費効率を高めたダウンサイジングは世界的なトレンド。
クルマのサイズ自体、長さや高さを抑えたコンパクトRVが増えてきている。かつて圧倒的なデカさと迫力で世界をリードしたアメリカ車も然り。日本車と見まがうような扱いやすいSUVが続々と登場しているのだ。
ただし、それは日本を含めた海外マーケットでの話。アメリカ本国では相変わらずドデカいSUVが君臨している。そのひとつが老舗の高級車ブランド、キャデラックのエスカレードで、GM(ゼネラル・モーターズ)・ジャパンが正規輸入している。
全長5・2m、全幅2mの巨体をいっそう強調するイカついスタイリングは、LED内蔵のクリスタルレンズ式ヘッドライトやクロームメッキをあしらったグリルでゴージャス感にあふれる。ハンドルは左仕様のみ。車幅があるので狭い道での運転には気を使うが、同乗者は実に快適だ。
ふかふかのレザーシートにはマッサージ機能まで付いていて、遊び疲れた体を癒してくれる。
大排気量V8エンジンはクルージングに最適
乗り心地もゆったり系で、実におおらか。道が広く、都市部を除けば信号が少ないアメリカでは、こうした乗り味が好まれる。
もちろんアクセルを深く踏み込めば、怒涛の加速が味わえる。なにしろエンジンはダウンサイジングとは対極にある6・2リッターのV8なのだ。燃費が気になるところだが(カタログ値は非公表)、高速道路をクルージングしているかぎりはごく低回転で走れるので、想像するほど悪くなかったりする(高速限定で6~7km/L目安)。
なお、満タン給油に備えて財布の中身を多めに用意しておこう。なにしろこのエスカレード、レギュラーガソリン可ではあるものの(メーカーの推奨は無鉛プレミアム)、タンク容量は98Lもある。空に近い状態なら、ガソリン代はおよそ1万円!
実は悪路にも強い本格派のSUV
アメリカンサイズだけにラゲッジも広い。2、3列目シートをたたむと真っ平らな空間となり、2列目中央の隙間を荷物やクッションで埋めれば、大人ふたりが縦になって休める。
アメリカではもっぱら富裕層が通勤に使うことが多いようで、日本でもオフロードに分け入っていくような使い方は想像しにくい。それでもシャシーは古典的なフレーム付きなので牽引にも耐え、駆動方式は2WDと4WDを選べるセラクタブル方式。
整備されたキャンプ場への往復など朝飯前だし、未舗装の山道も無理なく走れる。むしろ心配なのは巨体ゆえの取り回し。
細い道に迷い込んだときなど切り返しに苦労すること確実なので、行き当たりばったりのドライブは禁物だ。
【キャデラック・エスカレード】
全長×全幅×全高:5195×2065×1910㎜
車両重量:2650kg
最低地上高:215㎜
エンジン/排気量:V型8気筒OHV/6153cc
最高出力/最大トルク:426ps/623Nm
トランスミッション:6AT
駆動方式:4WD
価格:¥11,564,815~
問い合わせ先:GMジャパン・カスタマーセンター ☎0120-711-276
構成/櫻井香