
月面Xを探そう!(©tetsu_678)
今年は月面Xの当たり年
今回もちょっとマニアックな現象「月面X」を紹介します。6月17日、月面の欠け際にXの文字が浮かび上がります。きちんと三脚に固定すれば小さな望遠鏡でも見えます。
月面Xは上弦の月の直前に見られる現象です。欠け際のクレーターの淵が宙に浮いて見える箇所が何か所かあり、そのひとつがXのように見えるのです。「月面X」と呼ばれるようになったのは2000年代に入ってからだと思います。
上の画像を見て、どこにXがあるかわかりますか? 月のウサギのお腹のあたりです。
この部分に太陽の光が当たり、かつ、夜に月が上がっている時のみ、月面Xは現れます。今年は日本からは全部で6回もチャンスがあり、月面X当たり年と言えます。6月17日の次に見えるのは8月18日です。

欠け際に浮かび上がる月面X。
X以外の文字を探してみるのも楽しいでしょう。LとVとEを探し出してLOVEとフォントのように使って楽しんでいる人もいます。Oはクレーターそのままなので、簡単に見つかりますね。自分の名前を探してみてはいかがでしょうか。
かに座のプレセペに宿る火星を
6月23日の20時過ぎ、注目してほしいのが、かに座のプレセペ星団に入った火星です。夏至直後のため、まだ薄明が残っています。すでにかに座は西の空のかなり低い位置にあるので、西の空の開けた場所を探しておいてください。双眼鏡を向けると、数え切れない美しい星の集団が目に飛び込んできます。
プレセペとはラテン語で「飼い葉桶」という意味です。ロバが飼い葉桶からエサを食んでいる……という見立てのようです。

かに座のプレセペ星団と火星。(ステラナビゲータ/アストロアーツ)
中国では昔、かに座を鬼(き)という星座に見立てていました。鬼というと日本では角を生やしたオニのイメージですが、もともとは死者の魂という意味合いでした。そして、かに座の4つの星が成す四辺形を「死者がくぐり抜ける門」と呼び、肉眼でもぼやっと見えるプレセペ星団を、屍から発するガスの塊と見立てていたようです。なんだか死のイメージが色濃い星座です。
一方、アメリカではビーハイブ(蜂の巣)と呼ばれています。飼い葉桶だったり、死者のくぐる門だったり、蜂の巣だったりと、地域によってまったく違うイメージをまとっているおもしろい星団です。
そして双眼鏡を向ければ、ぼやっとガスのように見えたものが、美しい星の集団であることがわかります。双眼鏡はできれば三脚に据えて観察してください。三脚はカメラにも双眼鏡にも使えるので(ものによってアダプターが必要)、1台あると重宝します。

色とりどりの星が集まるプレセペ星団。(©Salvatore Cozza)
プレセペは、7〜8億年前、ほぼ同じ時期に生まれた星の集団です。赤っぽい星も見えます。これは歳を取っている証拠です。恒星の寿命は質量によって決まりますが、質量が大きいほど早く寿命を迎えます。プレセペ集団には赤い星、黄色っぽい星、白っぽい星と、いろいろな色が見られます。同じ時期に生まれながら、星のいろいろな段階を観察できるという点で、プレセペは天文学的にも重要な星団です。
さて、かに座の中に入った火星は、今シーズン、そろそろ見納めです。プレセペ星団の中でひときわ赤く光る火星を見届けてください。
構成:佐藤恵菜
