フライフィッシングという釣りを知っていますか? その 独特で優雅な釣りのスタイルから、最近はファッション誌で特集されたり、CMのワンシーンで目にしたりすることが増えてきました。でも、実際にどんな釣りなのか知らない方が多いのではないでしょうか。そこで、今回は、フライフィッシングの道具、やり方、釣れる魚などをご紹介をしていきたいと思います。
日本のフライフィッシングのはじまり
フライフィッシングは、鳥の羽などを針に巻きつけ、虫や小魚に似せた「フライ」を使う釣りの一種 です。「フライ」は「毛鉤(ばり)」とも呼ばれます。その歴史は古く、紀元前200年頃の書物に毛針を使った釣りに関する記録があるそうですが、 近代のフライフィッシングは1500年頃にイギリス貴族の間で発祥したとされ、現在も世界中で格調高いスポーツとして親しまれています。
日本のフライフィッシングの始まりは明治時代。長崎のグラバー邸でお馴染み、イギリス商人であっ たトーマス・グラバーが、栃木県日光市を流れる湯川の風景に自分の郷里を重ね合わせ、フライ フィッシングを始めたことがきっかけだそう。 当時は日本にフライフィッシングの道具はなく、また湯川をはじめ奥日光にはマス類は生息してい なかったそう。そこでグラバーたちは母国イギリスからフライの竿やリールを持込み、アメリカからカワマス(ブルックトラウト)の卵を輸入。日光の湯川や湯ノ湖に卵を放ち、自らフィールドを作りフライ フィッシングを始めたことが日本のフライフィッシングの始まりといわれています。
そして90年代以降、一気にフライフィッシングの認知度が上がるきっかけがありました。それが映画 『リバー・ランズ・スルー・イット』。若きブラッド・ピットがメインキャストを務め、大ヒットした映画です。 私は普段、初心者を対象としたフライフィッシングのガイドをしていますが、この映画でフライフィッシ ングの存在を知り、ブラット・ピットがフライフィッシングに興じるシーンに憧れて参加される方が非常に多くいらっしゃいます。
フライフィッシングの特徴
フライフィッシングの特徴は、フライ(毛鉤)を使うことだけではなく、その独特な投げ方にもあります。というのも、フライ自体にはそれほど重さがありません。ではどうやって遠くに投げるかというと、フライにつながるライン(糸)自体に重みがあり、それをムチのように前後に振ることで、その先に 着いたフライとともにキャスト(投げる)するのです。このキャスティングがフライフィッシング独特のスタイルなのです。キャスティングは非常に奥深く、実はキャスティングだけで別の一つのスポーツ確立され、世界各地で大会が開かれているほどです。
どんな魚が釣れる?
フライフィッシングは、トラウトと呼ばれるマス類の魚を渓流や湖で狙うのが一般的です。しかし近年はフライフィッシングの対象魚も多様化し、ブラックバスや海でスズキやクロダイなどを狙う方も増えました。使うフライを工夫すればかなり幅広い魚種を釣ることができるので、わざわざ山あいの渓 流などに足を運ばなくても、意外と身近な場所でフライフィッシングが楽しめます。
フィッシング最初の関門は道具選び!でも大丈夫、初心者向けセットもある
フライフィッシングは他の釣りと比べ、使用する道具が多岐に渡ります。そのため初心者の方は二の足を踏んでしまったり、敷居が高く感じてしまうのも事実。 しかし、最近はひとつのパッケージでフライフィッシングを始めることができるスターターキットも販売されています。スターターキットのお値段は1万円台〜2万円台といったところがほとんどなので、そういったもので初心者の方はスタートしてみるのもおすすめ。性能も必要十分なものがほとんどです。
なおフライフィッシングの竿やリールには重さや硬さを示す番手があり、例えば基本的に渓流などで は3〜4番。湖などでは5〜6番という番手を選べばまずは大丈夫です。 どこで、どんな魚を釣るかによっても道具の選び方が異なりますので、フライフィッシングを始めよう思ったら、遠慮なく釣具店を訪れてみてのスタッフの方に聞いてみましょう。道具選びから親切に教 えてくれますので、安心してください。
釣りの中でも一際奥深い、フライフィッシング
私自身、様々な釣りを楽しみますが、フライフィッシングは釣りの中でもひときわ奥が深いと感じます。例えば、釣りをするという行為以外にも、自然をよく観察し川に生息する虫に似せたフライを自ら巻く、キャ スティングの技術を追求し、美しいフォームでより遠くの魚を狙う、自分だけの道具を探す、そして最終的には自分自身で釣り道具をハンドメイドする…。挙げたらキリがないほど、フライフィッシングの楽しみ方は広がっていきます。
興味が湧いてきた方は、ぜひ1日でも早くフライフィッシングにチャレンジしてそいただきたいです。体験してみることで楽しみ方の幅が広いフライフィッシングという世界を、長く深く満喫することができるからです。