はじめまして!トレイルランニングやスカイランニングなど、自然の中を走るスポーツのアスリートとして活動している星野由香理です。現在は栃木県日光市に住み、主に日光国立公園をメインフィールドとして山野を駆け巡る日々を過ごしています。
山の中や不整地を走るトレイルランニングは、ロードランとは違った気持ちよさや楽しさがあります。しかし、山には楽しさだけでなく、リスクもあります。そこで今回は、これからトレイルランを始めたいという方に向けて、基本的な装備、山のリスクとエマージェンシー対策についてご紹介します。
トレイルランニングの装備、どうやって考える?
トレイルランは、山や森の中、または河川敷や砂浜など、アスファルトで舗装されていない場所を走るアクティビティです。その多くは自然の中であり、街の中を走るランニングとは服装や装備なども変わってきます。
その服装や装備は一体何を準備すればいいのか?それは走る場所にどんなトラブルがあるか、から逆算することで答えが出ます。
では、山の中を走る時にどんなトラブルが考えられるでしょうか?
よくある山でのトラブル
・道迷い
・天候の変化やそれに伴う気温変化
・エネルギー不足、脱水症状
・転んでケガをする
これらはもちろん街の中を走る時でも起こりうるリスクかもしれませんが、すぐ近くにコンビニもない、雨風を凌げる建物もない、簡単には助けを呼べない山の中で上記のようなトラブルが起こると、命の危険にも繋がりかねません。
そこで、これらのトラブルに対処するにはどうすればよいかという観点から、必要な装備を考えます。
山でのトラブルに備える装備
・道迷いを防ぐ → 登山地図や現在地がわかるGPS時計、スマホの地図アプリなどを使う。スマホの予備バッテリーも忘れずに。
・天候の変化やそれに伴う気温変化→レインウェアで雨を凌いだり、エマージェンシーシートで体を保温する。
・行動中のエネルギー不足、脱水症状 → 十分な食料や軽量でコンパクトな高カロリー食、少し多めの水分を持つ。
・転んでケガをする →消毒液や絆創膏、捻挫に役立つテーピングなどを持つ。
トラブルがあった時でも自分が持っているもので対処する、または道に迷わないように事前に地図の確認する、脱水症状にならないように小まめな水分補給などを心がけるなどのリスクヘッジの行動が大切になります。フィールドへ行くときのウェアや持ち物は、トラブルを回避するという視点を持って選ぶとよいでしょう。
行く山や行動時間によって持ち物は変わる
トレイルランのウェアや装備は、行く山の環境や、そこでの行動時間によって変わります。1時間ぐらいでぐるっと回れる標高200mぐらいの里山と、行動時間に8時間はかかる標高2000mの山へ行くのに、同じ装備ということはありません。
ただ、心配だからといってなんでもかんでも持っていけばいいということではありません。荷物が重くなれば、それだけ体力を消耗します。その荷物を背負って行動し続ける体力が必要になることも理解してください。
初心者の方は、まず行動時間が4〜5時間くらいで済む、標高1000m程度の低山に行くことをオススメします。『山と高原地図』やアプリなどで事前にルートを調べると、おおよその行動時間がわかります。その行動時間に対応できる装備を持てばよいのです。
トレイルランを楽しむ上では、なるべくなら荷物は軽いほうがよいでしょう。そのほうが、より快適に「自然の中を走る」という爽快感を味わうことができます。私はこの自然の中を駆け抜ける爽快感こそが、トレイルランの最大の魅力だと思っています。しかし、トレイルランに行く場合の装備は、身を守るために様々なことを考慮して選ばなければいけません。やみくもに荷物を軽くしようとするのは危険です。
初心者のうちは、身近でトレイルランをしている人に聞いたり、雑誌やWEBなどの情報を参考にしたり、また、トレイルランギアを扱うお店でアドバイスをもらうことをオススメします。経験を重ねるうちに、状況に合わせた必要な装備やウェアがわかってくると思います。
エマージェンシーキットって何が入ってるの?
トレイルランニングの必須装備の中に入ってくるのが「エマージェンシーキット」。要は応急処置セットです。エマージェンシーキットの中には、山でのケガやトラブルに備えて様々なものを入れておきます。
【エマージェンシーキットの例】
・絆創膏
・テーピング(捻挫時に必要な分をカットしておく)
・ガーゼ
・包帯
・ポイズンリムーバー(虫に刺された傷口から毒を吸い出す用具)
・消毒液
・痛み止め薬
・虫刺され薬
・エマージェンシーブランケット
他にも、携帯トイレや予備のコンタクトレンズ、生理用品(止血に使える)なども持っていると役に立ちます。また、手ぬぐいやバンダナは脱臼したときに負傷箇所を固定する応急処置に使えます。これら以外にも、胃腸薬やコンパクトなハサミ、ピンセットなど、山での怪我や体調不良を想定して自分が必要だと思うものを入れておくと良いです。ただし、これも心配だからといって何でもかんでも詰め込んでしまうと、その分かさばったり重たくなったりしますので、コンパクトにまとめられるように工夫してパッキングしてみてください。
まとめ
自然の中を走るトレイルランは、四季折々の季節を感じたり、コースを進む中で様々な景色を楽しむことができる素晴らしいスポーツです。ただ、やはり山にはリスクがあります。安全に楽しむためにも、ウェアや持ち物などの装備がとても大切です。まずは、基本的な装備をそろえて、体力や時間に余裕を持って楽しんでください。また、安全面を考慮し、できるだけ複数人で山へ行くようにしましょう。
経験を重ねていくうちに何を持っていくか、装備を考えたり、遊び心を持たせるのもトレイルランニングの楽しみの一つです。「何を持っていれば安全に山を楽しめるか、そして何かあった時に対処できるか」を自分の体力や経験値と照らし合わせて、装備を用意してくださいね。