先日、BE-PAL.NETの読者向けに行なわれた「ウェアを集めているアウトドアブランド」のアンケート調査で、モンベル、ノースフェイスに続いて第3位を獲得したパタゴニア(記事はコチラ)。
登山ガイドである筆者は、街でも山でもパタゴニアのウェアを愛用しています。それは自然環境に意識を向けた社風だという理念的な理由もありますが、製品の完成度が高いという実際的な理由も大きいものです。
夏のアウトドアはもちろん、エアコンが効いた部屋で行う在宅勤務など、日常のさまざまな場面での生活クオリティを向上する、筆者一押しの極上パタゴニアウェアをご紹介します。
バギーズ・ロング 7インチ
体裁上、登山ガイドの資格を持つ筆者は山で短パンをはきません。
そもそも、筆者はプライベートでも短パンを着る習慣はなかったのですが、それにしても昨今の夏の暑さときたら……。さすがに致し方なく、昨年、小学生以来の半ズボンに足を通す次第となりました。手にしたのはパタゴニアの「バギーズ・ロング7インチ」(¥7,700)という商品。
実はバギーズは「バギーズ・ショーツ5インチ」(¥7,150)という商品が定番なのですが、短パン再デビューを飾るにあたって、丈が2インチ(5cmほど)長いモデル、それも豊富なカラバリの中からあえて無難な黒と緑の2本を選んだ次第です。
しかし、いざ試してみるとこれが快適の一言。あいにく他のショーツと比較する知識は持ち合わせていませんが、ちょっと幅広のシルエットのためか風通しがよく、紐とゴムでウエストを調節するはき心地も秀逸です。もはや恥ずかしさなんてどこ吹く風。気がつけば昨年に続き、2枚のバギーズを日替わりで着用し続けるシーズンが到来しています。
きっとバギーズの良さは、その奔放さにあるのでしょう。厚手のナイロン生地は丈夫でガシガシ洗える一方、海や川で濡れたとしても、太陽を浴びればすぐにカラッカラに乾きます。濡れたって汚れたってどこに座ったって全然へっちゃらなバギーズ。はいている本人ですら、「ド派手にいくぜ!」なんて大それた気分になってきます。
誰にでもお勧めできるバギーズですが、筆者がこだわる着用方法は「ノーパン」。アンダーウェアを身に付けず、直接バギーズをはいてみると、いかに今まで下着の着用がストレスだったかがよく分かります。
この「ノーパン」はなにも筆者個人が提唱している訳ではなく、バギーズ愛好家たちの間では一般的なスタイルです。そもそも水着としても使えるように設計されたバギーズは、股部分にライナーが縫い付けられており、下着を付けずに街中を歩いたとして倫理的にも法的にも全く問題ありません。
はじめは抵抗があるかもしれませんが、なに、「これは水着だ、海パンなのだ」と自己暗示をかけてしまえば済む話。快適なバギーズを更に快適に使うテクニックは何事にも代え難いものです。
はいている人の気持ちまでも昂らせる「バギーズ・ロング 7インチ」。この際、羞恥心や体裁という余計なものは捨てて、ド派手に楽しんでしまいましょう。
ちなみに筆者は、次に真っ赤な5インチを狙っています。
フーディニ・エア・ジャケット
わかりやすく言えば超薄手のナイロン生地を使ったウインドブレーカーの一種である「フーディニ・ジャケット」(¥14,850)。とあるパタゴニアのスタッフが、「この商品を持っていない社員はいない」と言い切るほど、多くの人に愛され続けるパタゴニアの大定番の一つです。
数年前、そのラインアップに新モデルが登場しました。その名も「フーディニ・エア・ジャケット」(¥23,100)です。
フーディニ・ジャケットの魅力である“ほどほど”の防寒・防風・撥水・速乾性に加え、唯一の弱点であった“激しい運動時のムレ”を減少させるべく、生地に「通気性」を持たせたという点が「エア」と冠する所以(ゆえん)です。
従来モデルのフーディニに比べ、ポリエステル混紡の生地はナイロンならではのシャカシャカ音が減少しており、表面の質感もよりなめらかで上質な印象を受けます。また、裏面には細い糸が格子状に縫い込まれており、肌に直接触れた際のペタペタ感が軽減されています。
どちらのモデルにも防水性はなく、本格的なレインウェアの代わりにはなりません。しかし、表面には撥水加工が施されており、さらに強力な速乾性を兼ね備えているため、「雨の中、駅から自宅までの10分を歩く」などといった日常生活の多くのシチュエーションにおいて強力な相棒となってくれるはずです。
ゲリラ豪雨への対策として重宝するのはもちろん、蚊やブヨなど夏の虫を避けるのにも有効ですし、エアコンが効きすぎて寒いという場面でも、さっと羽織ればOK。116gと小型のスマホより軽いくらいの重量しかなく、胸ポケットに収納すると大変コンパクトに持ち運べるという点も大きな魅力です。
筆者はフーディニとフーディニ・エアの両方を数枚ずつ所有してきましたが、特に汗ばむ時期は通気性の有無で快適度が大きく変わることを実感しています。スペックが“ほどほど”だからこそ万能に使えるフーディニに、通気性が加わった「エア」はまさに鬼に金棒ではないでしょうか。
春から秋にかけた時期での利用を考えている方や、激しい運動を伴う(かつ、頻繁に脱ぎ着ができない)アクティビティで着用する方、また、タウンユースに上質なウインドブレーカーを探している方は、「フーディニ・エア・ジャケット」を選んで後悔することはないでしょう。
パタゴニアのウェアで快適な日常生活を!
「ウェアを集めているアウトドアブランド」のアンケート結果を発表した記事では、筆者には耳慣れないアスレジャーなる言葉が登場しました。スポーツウェアをファッションの一部に取り入れることを指すアパレル用語であり、最近では感度が高い人たちの間で大人気となっているスタイルなのだそうです。
「オシャレは我慢だ」の時代は終わり、現代のファッション界では「自分らしく快適に」という自由さがもてはやされるようになっているのかもしれません。
バギーズ・ロングとフーディニ・エアのどちらも大変機能的であり、着用していて快適なことは間違いありません。パタゴニアのウェアは、日常生活においてもQOL(quality of life)を向上させてくれるギアなのです。
いっそのこと、会社や役場なども「Tシャツ&短パンOK」にすれば作業効率も上がるのになぁ、と考えるのは筆者だけでしょうか。なにも暑いさなかに日本人がスーツを着ることはないと思いますけどね。
コロナ禍において山のライター、シラス漁師、鮮魚店の売り子、ポニーのお世話などの副業を始め、あらためて自分の好きなことを仕事にする喜びを感じている。1985年生まれの子育て世代。ペットは深海生物のオオグソクムシ 。