ポップアップルーフ付きのキャンピングカー&車中泊カーは、小さめのクルマであっても装備と就寝定員をあきらめずにすむのが利点だ。「子どもはポップアップルーフ、大人は下のベッドで広々眠る」という使い方のほか、ソロやデュオであっても「わざわざシートを回転させるのは面倒。下はリビング、上をベッドルームにする」という使い方もできる。
よく似たものにルーフトップテントがある。ルーフトップテントはベースキャリアにテントを載せるので車内から行き来できないが、ポップアップルーフは屋根そのものに穴を開ける。そのためポップアップルーフは車内の圧迫感解消に役立つし、ルーフトップテントに比べて車高を抑えられることもメリットだ。
ポップアップルーフ搭載の注目車両
6月12~13日、東京ビッグサイト青海展示等で行なわれた「東京キャンピングカーショー」(https://jrva-event.com/tokyo/)の会場でも、この魅力的なポップアップルーフを装備したバンコン、軽キャンパーを多く見かけた。
バンコン=ハイエースにとらわれず、日常的に使いやすいコンパクトカーを積極的に採用するホワイトハウス。こちらはポップアップルーフ標準装備のFREED+ DOG LOVER(383万円〜/展示車両484万2000円)。
リアゲートにはメッシュの柵があり、ドアを開けた途端にペットが飛び出してしまわないよう配慮している。コンパクトなクルマだが、ポップアップルーフとオプションのフロント回転シートにより車内は広々。乗車定員5人/就寝定員4人を実現している。
センスのよさが光るダイレクトカーズのRetreat NVPOPⅡ(379万円〜/展示車両507万9200円)。乗車定員4人/就寝定員2人。
後部の棚をベッドにするなどレイアウトの自由度が高い1台に仕上がっている。山小屋をイメージしたというシンプルな内装で、自分で好きな風にカスタムするのにもよさそう。
■キャンプ場でのレイアウトを考える
おもしろいのはRamble in wilderness(荒野を散歩する)がテーマのRIW。
コンパクトなNV200バンベースのRIW200-ER(526万9000円〜/展示車両608万6880円)とナローサイズのNV350バンをベースに採用したRIW350(559万9000円〜/展示車両685万3720円)を展示しており、RIW200-ERはポップアップルーフの後ろ側が上がり、350は前方が立ち上がる。
似たような形のルーフトップテントは後部から出入りするよう後ろが持ち上がっている。そして95年に話題となったボンゴフレンディ オートフリートップのイメージからだろうか、漠然とルーフトップテントは後ろが持ち上がり、ポップアップルーフは前が上がるイメージを持っていたが、前が上がるか後ろが上がるかの違いは、車中泊時のレイアウト次第だという。
RIW200のポップアップルーフを上げると、後部になるほど立って作業できるほど背が高くなる。
車外を積極的に利用してくつろぐことを提案しており、就寝時はベッドになる後部の棚を車外に持ち出してベンチ&テーブルとする。
サイドドア側にテーブルとベンチを広げてもいいが、リアゲートを跳ね上げ、そのまま棚をおろしてリビングとするほうが素直。
ポップアップルーフの後ろ側が高くなっているのはそのため。乗車4名/就寝3名+1名。
一方、RIW350は車内でくつろぎ、主にサイドドアから出入りすることを想定しているため手前側を高くしている。こちらは乗車7名/就寝大人3名+子ども3名。
ポップアップルーフの前方が上がる車両といえば、ペットとの旅がテーマのRetreat NV POPもそうだ。これは後部に冷蔵庫を搭載しており、リアゲート側での調理が便利そうだ。リアゲートの下から鑑賞できるようオプションの後部テレビはフレキシブルアームを備えている。
にも関わらず、前側のルーフが持ち上がる。
じつは運転席の後ろあたりにペット用ケージを固定する棚があり、ペットの世話を考えればポップアップルーフの前方が持ち上がるほうが使い勝手がいいというわけ。
運転席の後ろやサイドドア脇にギャレーがあるものはポップアップルーフの前方が持ち上がると車内で作業しやすいし、駐車スペースが決まった区画サイトでも使いやすそう。
一方、リアゲートにタープを取り付けるなど、バックドア側を積極的に利用するなら後部に頭上空間がたっぷりあるほうが便利だ。車中泊ができる駐車場では、コンパクトカーであれば後ろに余裕があるのでバックドアを開放して作業するのにもよさそう。
そんなふうにポップアップルーフの写真と車内レイアウト図をもとに使用シーンを妄想するのも、キャンピングカー選びの楽しみだ。