今でこそ多くのフィンランド家庭に普及しているサウナですが、1950年代後半頃までは都会に暮らす一般の労働者家庭にサウナはなく、パブリック・サウナに通っていました。ヘルシンキのどこの街角にもパブリック・サウナがあると言われるほど、50年代後半には100軒以上あったパブリック・サウナも、現在は数軒しか残っていません。しかし、1920年代の創業当初から変らずに伝統的なスタイルを守るパブリック・サウナがヘルシンキに2軒残っています。
1929年に創業を開始したアーラ(Arla)は、天然ガスと薪で暖める伝統的なサウナです。当時は労働者が多く住んでいたエリアですが、現在は学生やアーティストらが多く暮らすエリアになり、アーラは伝統的なサウナ文化を守りながらもモダンなスタイルを取り入れ、都会的なパブリック・サウナとして人気があります。
個性的なショップの集まるカッリオ地区にあり、近所の常連客がバスローブを着ながらやってくる姿もあります。
一階にある受付でお金を払います。タオルを持っていない人にはレンタルサービスがあり、ミネラルウォーターやビールなどの飲み物も販売しています。
更衣室にはロッカーがあり、鍵もついています。サウナから出て、外に行かずに更衣室でクールダウンする人たちもいます。「サウナの後には健康的なものを食べてほしい」というオーナーのアイディアで、テーブルにはトマトが置かれています。
サウナの手前にシャワー室があります。シャワーを浴びて身体を拭いてからサウナに入ります。
温度は上の段になるほど暑くなり、一番上の段に座る人がほとんどですが、暑さの苦手な人は下の段に座ります。タオルを敷いて寝転ぶ人もいます。
パブリック・サウナの更衣室とサウナは男女別になっていますが、外で涼むときには男女一緒です。バスローブを着る人もいますが、男性も女性もバスタオルを一枚巻くだけの人がほとんどです。