案内されたのは、吹き抜けとなったログハウス風のレストラン。レンガ造りの大きな暖炉を中心に、壁のガラス照明や飾り棚などがあつらえたように収まる。これらがすべて拾い物か貰い物で作ったというから驚きだ。ちなみに建築技術は、高校時代の授業と独学だけで得た。
それもお金が貯まってから作り始めるのではなく、作ってしまえば後でなんとかなってしまうのがリトルカントリー流。「窓がなければ、誰かガラスをくれんかなー?といった具合。欲しいと思ったら、強く願えば必ず手に入るんよ。不思議よね」とあっけらかんと笑う奈美さん。なんとも魔法のような話だが、絞り出した知恵と汗がプラスされて掴んだ夢でもある。
敷地にはニワトリ小屋、豚小屋、小さな畑やニホンミツバチの巣箱があり、日々の生活に潤いをもたらしている。蒔で焚いたワイルドな露天風呂に浸かり、夕食は豚肉のソテーをメインに山蕗の佃煮と朝取り卵入りポテトサラダ、収穫したラディッシュを使った和え物、グリンピースご飯。食材一つひとつが滋味に溢れ、体じゅうの細胞に栄養が満ち足りているような充足感を覚える。早起きの敏夫さんが早々と寝室に消えたあと、奈美さんお気に入りのバーボンを片手に“ガールズトーク”で花が咲いた。