峠を越えると、あとはのんびりとハイキング気分で進みます。すると、エメラルド色の角間池が。この池周辺は長野県の環境保全地域に指定されており、鮮やかなブルーのルリイトトンボ、アマゴイルリトンボの姿も見られます。
クライマックスは白池。ところで「しろいけ」「しらいけ」のどちらで読みましたか? ここもまた信越国境争いが残る場所なのです。元禄13年に越後から「白池は越後の地だ」と訴えられた信濃。かねてより諏訪大社の薙鎌神事が行われていたという事実から、信濃国の領地であると裁定されました。ただ信濃国と裁定したけれど、池の水が断たれると領民が困るということから、池は越後ということになったそう。冒頭の質問ですが、信濃の人は「しらいけ」、越後の人は「しろいけ」と呼ぶことが多いそう。どちらでしたか?
ちなみにこの信越国境論争。平成の世となった現在でも、この白池近辺の県境は国土地理院の地図を見ても引かれていません。こういった歴史上のやりとりを学べるのも、信越国境の最前線だった小谷村の塩の道らしいところです。
前回は根曲がり竹をちょこっといただきましたが、今回は実山椒。小谷村は青唐辛子を「こしょう」と呼んでいて、それを使った「こしょう漬け」というお漬物が郷土料理としてあります。でも同じ辛いものなのに、山椒に関しては「へ? 植わってるけどそういえば食べないなぁ」と冷たい態度。私は関西人なので、ちりめん山椒や魚の煮付けなどに山椒は欠かせないのに。地道に集めては塩漬け、醤油漬け、冷凍と保存保存。食文化の違いも楽しいですよ。
※塩の道の歩く際には、トレッキングシューズや雨具など山歩きの装備をしましょう
※ハチやクマなどに遭遇する可能性もあるので、対策は怠りなく
※山道だけでなく、住宅街や一般道も通るので車に注意をしましょう
■「小谷 塩の道の会」
・年会費:1000円
・参加費:1000円(保険代込、集合場所の小谷村役場までの交通費は実費負担)
・問合せ先:小谷村観光連盟 0261-82-2233
http://www.vill.otari.nagano.jp/kanko/index.html
文・写真/村岡利恵
(元女性誌編集者。都会育ちのアウトドア初心者なのに15年小谷村に移住。hutte muu muuとしても活動開始)