屋久島は湧き水が豊富で、原料となる芋も入手しやすい土地柄から焼酎作りが盛んな島である。この焼酎がウマイのなんの。それでもって、うまい魚と海を渡って島にやってきたという旅情と開放感で、ついつい飲み過ぎてしまうのだ。
この島焼酎を一層おいしくするのが、島に点在する天然温泉だ。「花之江河歩道」を歩いたあと南海岸にある2つの温泉をハシゴした。まずは湯泊温泉。波打ち際に設けられた湯船から大海原が見渡せる絶景温泉だ。ただ、湯温約37度℃と冬にしてはちょっとぬるい。急いで車に乗り込み隣の平内海中温泉へ向かう。こちらは名前の通り、満潮になると海の中に沈んでしまうワイルドな温泉。ちょうど干潮を迎えており、観光客や地元のおばあちゃんたちで賑わっていた。湯船につかるとバッシャーンと砕け散る波と視線の高さが同じとなり、温かい海につかっているようでものすごい迫力だ。それぞれ湯加減が違う小さい湯船が点在し、好みのお湯につかることができる。
「混浴はちょっと」という人には、内湯で岩風呂の底からこんこんと湯が湧き出る尾之間温泉を、自信を持っておすすめしたい。
温泉を堪能したあとはお待ちかねの酒盛りへ突入。田平さんおすすめの島焼酎『太古屋久の島』は、海へと流れ出た汗と入れ違いに瞬く間に僕らの体へと消えていったのだった。
(アウトドアライター 森山伸也)