夏になったら絶対にやりたい自然遊びは水生生物探しだ。
水の中に住んでいる生き物たちは、日常的に出会うチャンスが多い陸上の生き物とはまったく違う姿形をしているので、出会ったときの「ドワワーッ」という心の弾み具合がいつものそれとは雲泥の差だ。
そして全身がビショビショ、ドロドロになってしまっても、後で泥だらけの服ごとホースの先を指で押さえて水を全身にかければOK!というのが気持ちよくていい。むしろ、この作業があるからこそ幼児との水生生物探しは面白いと言っても過言ではない。
僕と子供達は、水性生物捕獲用の網と入れ物を持って田んぼへ飛び出した。水生生物用の網は、陸地用の網が丸い形をしているのに対して、地面の底まで余すこと無く生き物を捕獲するために網の上部が平らになっているのが特徴だ。
水路や田んぼの脇の底や草の茂みを網でガサガサと生き物を捜索する。
子供達と、「水の中ではどんなところに生き物が隠れるか?」を作業開始前に色々考えた。この捕獲前の作戦会議が子供達の体験と学びをより深くしてくれるのだ。
開始まもなく全身ドロドロになる子供が数名。それと同時に様々な生き物たちが子供達の網の中に入り始めた。
そうすると、田んぼ中に子供達の大きな声が田んぼ中に響きわたる。
「おおきなカエルがいたぞ!」
「うえー、なんだこのキモイ虫!なんだか△○×□…」
半分興奮混じりで何を言っているのかわからないくらい、子供達の捕獲作戦は白熱しはじめる。後は満足するまで楽しむだけだ。
ひと通り生き物を捕獲した後は、自分のお気に入りの生き物を選んで小瓶に入れる。そしてじっくりと観察をしながらスケッチをした。
お気に入りの生き物を選んで小瓶に入れると、“僕だけの(私だけの)生き物”という独占欲が満たされる。これがいつもよりも高い集中力と観察眼を得られるコツだ。目の前でじっくり観察しながら描く生き物は、目の形や柄、指先の形など、普段はただの線で終わりがちな部分や一色で塗りつぶされてしまう場所が、そのまま動き出しそうなくらい丁寧に描かれていた。
これからが夏本番。旅行先で獲物がいそうな水辺を発見したら、網を水中に入れてみよう!
【そのほかの記事はこちら】
「園児野生化計画」~2016☆始動~
「園児野生化計画」~保育園年中組が命懸けで出した最初の一手とは?~
「園児野生化計画」~ロープから始まる冒険心~
「園児野生化計画」~風をつかまえろ!~
「園児野生化計画」~雨でもただじゃ帰らない~
「園児野生化計画」~命をかけた度胸試し~
「園児野生化計画」~夜の森にオオカミはいるか?~
「園児野生化計画」~水の中に潜むエイリアンを捕獲せよ!~
「園児野生化計画」~親がムキになるべき夏の虫取り~
「園児野生化計画」~森のコレクター~
「園児野生化計画」~寄り道が多い山登り~
「園児野生化計画」~ワイルド乙女~
長谷部雅一
アウトドアプロデューサー。
アウトドアイベントの企画・運営を手がける「Be-Nature School」スタッフ。人と自然をつなぐインタープリターとしても活躍中。現在、SONY「Xperia」のCMにも出演中。
著作に『ネイチャーエデュケーション』1300円+税 みくに出版刊