秋といったら「読書の秋」!アウトドア派、自然派にオススメの書籍をご紹介しよう。
BOOK 01
チョウを知り草花を知って
チョウの楽園を作ろう
『蝶が来る庭
バタフライガーデンのすすめ』
海野和男・写真と文 草思社 ¥2,750
バタフライガーデンとは、チョウが好む花や食草(幼虫期に食べる植物)を植えて、呼び寄せ楽しもうという庭。1983年に、イギリスのミリアム・ロスチャイルドが提唱し、著者の海野さんはそれを日本に紹介したことでも知られる。
本書は、長野県の小諸に著者が試行錯誤しながら作ったバタフライガーデンを紹介し、基本的な考え方や深~いテクニックを、著者ならではの鮮やかな生態写真とともに披露する。
分泌する蜜量の多寡以外でも、チョウに花の好みがあるということがまず面白い。草花紹介に、チョウの集客ランクがついているのもユニークだ。中にはムシトリナデシコ、チョウセンヨメナ、ブッドレアのようなモテモテ植物もあるが、あるチョウに特化して好まれるものもある。庭を作る場所(地方)、季節、呼びたい種によって選択は無限に広がる。だが、最近は花を鮮やかにするべく改良され、その結果蜜量が少ないものもあるなど、考えなければならない条件は複雑だ。だからこそこの庭作りは面白いと著者はいう。
都市部では幼虫の好む食草を植えるかどうかが、呼べるチョウの種を左右しそうだ。可能な範囲を知りじっくりと組み合わせを考えて庭作りをしたくなった。
BOOK 02
現代の狩猟者群像から
狩猟の何たるかを学ぶ
『狩猟に生きる男たち・女たち』
高桑信一著 つり人社 ¥1,100
マタギの末裔から孤高のベテラン、胸を高鳴らせる入門者、新しい取り組みをする人などを各地に訪ね、狩猟の現実の姿や問題点を追求したルポ。取材するうちに、著者も自ら狩猟免許を取って狩猟者の立場に立つ、つまり他者を取材するだけでなく自分自身を取材することで、狩猟に対する深い洞察を得ている。銃や罠を駆使して野生動物と対峙する狩猟は、想像以上に重みのある行為だと実感。
※構成/三宅直人(BOOK)
(BE-PAL 2021年7月号より)