人気の渡航先として上位にランクインすることの多い、インドネシアのバリ島。それだけに、宿泊施設も格安ゲストハウスから高級ヴィラまで、よりどりみどりだ。豊富な選択肢の中から、子どもを連れた旅人は、何に重きを置いて宿選びをしたらいいのだろう?
私たちが海外に出かけるのは年に一度だけ。せっかくなら、日本にいては味わえないような、強烈な個性を放つところに泊まりたい。
でも、ほかのゲストも快適に過ごせるよう、子連れだからこそ注意したい点もある。とくに気を配りたいのは「音」。子どもは泣くときは泣くし、興奮すればドタドタ走り回るし、騒々しくなる場面も多い。「静かにしようね」と約束しても、親の願い通りに過ごせる保証はない。となると、こちらの音が迷惑にならないようドミトリーではなく個室を、そしてゲストハウスよりはホテルを選ぶことが多い。
理想と留意点を心の片隅にとどめつつ、いろいろ探しているときに見つけたのが、バリ島ウブドのはずれ、サヤン地区にあるBambu Indah(バンブーインダー)というヴィラだった。実のところ、一泊の予算はオーバーしていたのだが、とても気になってしまい……、結局予約することにした。
タクシードライバーが見落としてしまうほどの、入口付近にあるそっけない案内板に若干の不安を覚えたが、到着してみれば、先ほどの不安は一気に吹っ飛んだ。レセプションの建物の、インパクトがすごい。いやはや、すごいところに来たもんだ。
Bambu Indahは、100年以上前に建てられた伝統家屋をジャワ島から移築し、ヴィラとして利用している。建物の周囲には、オーガニックの野菜やハーブを育てるパーマカルチャー農園や、塩素や殺藻剤を使わずバクテリアの力で浄化する天然のプール、そしてヤシの木の上には竹を使ったツリーハウスなど、ユニークなものがたくさん。トンボやヤモリ、水路にはおたまじゃくしなんかがいて、生きものの気配を感じながら探検気分で敷地内を散策できる。
宿泊する部屋に到着。外壁の繊細なレリーフが目を引くアンティークの建物は、室内に入ってからも驚きに満ちていた。息子は初めて見る天蓋付きのベッドに大興奮。秘密基地のような佇まいが気に入ったのか、出たり入ったりを何度も繰り返す。
大人がびっくり仰天したのはシャワールームで、床はすき間だらけの板張り。地面がばっちり見えている。シャワーを浴びるときにスリリングだろうなあ、と思って見渡してみて、気づいた。排水口が、ない。これでは排水が床下の土に染み込んでしまうのでは!?
あとで設備についての説明書きをチェックしたら、土壌にそのまま排出しても、地下水システムに取り込まれるから安全、との旨が書いてあった。そのため、備え付けのオーガニックバスグッズ使用が必須らしい。なお、トイレと洗面所には排水パイプが完備されている。