部屋の目の前がプールというロケーションは息子にはとても魅力的だったようで、室内パトロールを早々に切り上げ、水着に着替える! と洋服を脱ぎ出した。
準備万端、浮き輪を持ってさっそくザブン。ビート板やフィン、バスタオルの用意があるのはさすがだ。プール脇に生えているヤシの木にはロープが結びつけてあって、ぶら下がって勢いをつけてから水にダイブ、というダイナミックな遊び方もできる。プールサイドのデッキチェアに寝転んで本を読み、そのままうとうと……、というのも憧れるが、それは子どもが大きくなってからのお楽しみ、ということで。
敷地内の散歩やプール遊びのほか、息子が楽しそうにしていたのは、宿泊者の共有スペースMinang Houseで過ごすひとときだった。こちらはスマトラからブラックバンブーを運んで建てられた、Bambu Indahを印象づける迫力のある建物。ヨガやプライベートディナーといったイベントが入っていなければ、ラウンジのように誰でも自由にくつろいでいい場所である。
風通りの良さと眺めの素晴らしさ、走り回れるほどの広さが気に入ったのか、息子から「あそこにいこう!」と何度もリクエストされたのが、居心地の良さを物語っている。
1階部分のブラックバンブーの柱には何本もの弦が張られていて、楽器のように遊べるという遊び心もたまらない。
息子の口から直接「よかった」と聞いたわけではないが、たくさん動き、泳ぎ、眠り、よく笑い、というその行動から察するに、かなり満足度が高かったと思う。そして、親である私たちも、ここに泊まって本当によかったとしみじみ感じている。ホスピタリティに満ちたスタッフの対応、建築物とインテリアのセンス、敷地内で採れたオーガニック野菜をふんだんに使ったおいしいメニュー……。
もちろん、自然溢れる環境だから、それなりの覚悟は必要かもしれない。深夜のカエルの大合唱とか、虫がひょっこり部屋にお邪魔してくるケースとか。
ただ、快適そのものの豪華リゾートで過ごしていたら気づかなかったであろう、「自分たちが求める楽しさ、居心地の良さとは何か」が、より明確になったと思う。それは、建物を吹き抜けていく心地よい風であり、植物や生き物を愛でる時間であり、親子で同じものを見ながら「すごいね、面白いね」と言い合えることだった。
本当に贅沢なひとときを満喫したBambu Indahでの宿泊後、バリに旅立つ友人たちに「ねえねえ、絶対に泊まって欲しいヴィラがあるんだけど……」とオススメしまくっている今日この頃である。
2016年8月11日(木)10時~11時半に、東京・代官山蔦屋書店で子連れ旅のトークイベントを開催します。
「子連れの旅の心配あれこれ」というテーマで、飛行機の搭乗時、体調不良のとき、現地での食事はどうする? など不安に思うポイントについてお話する予定です。
イベントの詳細は、下記リンク先のページをご参照ください。
http://real.tsite.jp/daikanyama/event/2016/07/3.html
旅音(たびおと) カメラマン(林澄里)、ライター(林加奈子)のふたりによる、旅にまつわるさまざまな仕事を手がける夫婦ユニット。単行本や雑誌の撮影・執筆、トークイベント出演など、活動は多岐にわたる。近年は息子といっしょに海外へ出かけるのが恒例行事に。著書に『インドホリック』(SPACE SHOWER BOOKS)、『中南米スイッチ』(新紀元社)。
http://tabioto.com