山梨県が、地域の自然と調査する「アウトドアサウナ」を、コロナ収束後の新たな観光資源として定着すべく推進していく「やまなし自然サウナととのいプロジェクト」を発表。いったいどんなことを目指しているのか?実際にアウトドアサウナを体験できる場も用意されたキックオフイベントには、山梨県知事の長崎幸太郎氏も登壇。県をあげてのプロジェクトであることを体感させた。
山梨県知事「若手発の悪ノリのようなプロジェクト」
このキックオフイベントが行われた丹波山は、現地でさかんに行なわれている狩猟(によるジビエ)とサウナを組み合わせた「狩猟とサウナ」というイベントを2019年から実施。その経緯から、本プロジェクトを象徴する存在のような位置づけで、キックオフイベントの場に選ばれたようだ。
キックオフイベントでは、山梨県知事の長崎幸太郎氏、山梨県議会議長の桜本広樹氏、丹波村村長の岡部岳志氏、「狩猟とサウナ」主催の保坂幸徳氏によるトークショーが行なわれ、「狩猟とサウナ」を始めたいきさつや、山梨県でアウトドアサウナを発信していきたいというアイデアが、県職員の若手メンバーからの立案であること、それが「悪ノリのような感じで」後押しされ、県をあげてのプロジェクトにまで発展していったことが明かされた。
「狩猟とサウナ」というイベントで、観光資源×サウナを組み合わせた前例があったこと、また若手のやる気を後押ししようという県議会の風通しのよさも感じられた。
この日行なわれたのは、キックオフイベントでよくみかける「テープカット」の代わりに、サウナプロジェクトのキックオフにふさわしい「ファーストロウリュ」。
河原に設置されたストーブで熱されたストーブに、長崎県知事や、元よりサウナーであることを明かした桜本県議会議長、岡部氏村長がロウリュ。一面に広がる水蒸気は、見るからに気持ちよさそうだ。
県知事たちは会場に設置されたアウトドアサウナでの、サウナ体験も。「見せられる体じゃない(笑)」とサウナポンチョを着用したままでのサウナ体験だったが、お互い普段とは違う姿で向き合うことで、リラックスした表情を見せていた。
アウトドアサウナ4社競演で豊かな自然の中のサウナを堪能
このキックオフイベントでは、アウトドアサウナ向けのサービスを展開している4社が用意したサウナがずらり登場。
「テントサウナ」を広めた第一人者ともいえる株式会社メトスからは、トレーラーサウナとSAVOTTAのテント型サウナ。
テントサウナで楽しむキャンプスタイルを推進するSaunaCampからは、ロシア生まれのMORZH(モルジュ)のテント型サウナ。
薪ストーブを取り扱って30年のファイヤーサイドからは、Mobibaの前室囲い付きテント型サウナと、リュックで移動できるモバイル式のバックパックサウナ。
サウナ型テントのレンタル、販売を行なうSotoburoからは、ロシア製のパラシュート縫製から始まったEX-PRO(エクスプロ)のテント型サウナ。
本当は水風呂はプールではなく川にダイブしたいところだったが、比較的水流が速く、うっかり迷惑をかけるような事態になってはいけないので、この日は我慢。
しかし違うメーカーのサウナがここまで一堂に会することは珍しく、山梨の豊かな自然の中でそれぞれの違いを楽しむことができた。
アウトドアで楽しむサウナ全般をさす「アウトドアサウナ」。なかでも設置や移動がしやすいテント型サウナを中心に、山梨県の豊かな自然を楽しめるプランが、これからあちこちで生み出されそうだ。
キャンプとセットでアウトドアサウナを楽しむのが、山梨でのアクテビティを代表する未来も、そう遠くはないのかも。
山梨県公式サイトイベント報告ページ
https://www.pref.yamanashi.jp/kankou-sk/shizensauna.html
撮影/小倉雄一郎 取材・文/安念美和子