リモートワークと並行しながら、100%オーガニックの鎌倉野菜を育てている朝農業生活を続けて1年半。2度目の夏も後半です。『雨のちハレ、ときどき農業生活』で収穫した野菜たちをお伝えしている今日は「万願寺とうがらし」です。ししとうじゃないですよ!
万願寺とうがらしの豆知識
きっと万願寺というお寺で育てられたからその名がついたんでしょ?と思っていましたら、その通りでした(笑)!大正末期から昭和初期にかけて京都府舞鶴市万願寺地区発祥の京野菜でした。
なんだ、ゴリゴリの京野菜か!と思いきや、その誕生は意外なもので、というのは、京都伏見系のとうがらしとカリフォルニア・ワンダー系のとうがらしを交配して誕生したものだそうなのです。まさかの日米ハイブリッド野菜!
夏野菜で、旬は6月~9月。大きくて分厚く、柔らかく甘味があり、種が少なく食べやすいことが特徴。代表的な京野菜のひとつで、外国系とうがらしの血統を持ちながら、京都府が特に選定した「京の伝統野菜」に準ずる野菜として指定されています。
ししとうとは違います。
万願寺とうがらしもししとうも、ナス科トウガラシ属の同じ仲間で、ししとうは一般的なとうがらしと同じ一口サイズの大きさですが、 万願寺とうがらしは大きめです。二つとも「甘唐辛子」の一種で、辛さよりも甘さを感じるのが特徴ながら、ししとうの方が辛味や苦味がややあります。ちなみに、ピーマンやパプリカもナス科トウガラシ属の植物で、辛みのない「甘唐辛子」の一種になります。意外!
他のとうがらしも同様に緑色した「青」と、いかにも辛そうな「赤」があります。この違いは何かわかりますか? 実った万願寺とうがらしを株に付けたままにしておくと赤く色が染まります。つまり、熟成したものが赤とうがらしになります。
万願寺とうがらしに限っていうと、赤く熟した方が味は甘く、実際にも糖度が違うそうです。これはパプリカも同じで、焼くとその甘味が増すそうで、栄養価も赤とうがらしの方が緑よりも何倍も高いです。
- ビタミンA:緑<赤(約2.5倍)
- ビタミンC:緑<赤(約2倍)
- ビタミンE:緑<赤(約3倍)
- カロチン:緑<赤(約2.5倍)
焼いただけ!ビールに最高のおつまみ
作り方はとても簡単!万願寺とうがらしを洗って、ヘタの部分を切り落とし、ごま油で焼くだけ。これだけでももちろん美味しく、軽くかつお節をまぶして、醤油をたらしても美味です。
我が家では湘南地区の家庭に必ずある(?)ちりめん山椒と塩昆布で和えて、トマトを添えて酸味を加えました。
夏の朝農業は朝7時から長くても10時くらいに上がります。暑さ対策ですね。なので、帰宅してシャワーで汗を流すとお昼の時間になるのですが、どうしましょう!?というくらいビールが進みます。かなり控えめに言って、最高です。
炒めても良し!白ごはんがどんどん進む
冷蔵庫にあった鶏のムネ肉と野菜をかき集めて、味噌で炒めたもの。同じトウガラシ属の黄色パプリカと、同じ畑で取れたにんじんとの共演です。彩りとしても緑色は料理に欠かせないですよね。万願寺とうがらしの甘味と野菜たちの甘味が味噌で見事にブレンドされて、ご飯が三杯いける逸品になりました。
ウリ科やナス科は夏野菜として代表的な存在ですが、夏野菜には体温を下げる効果があるとか。一方で、根菜類のような冬野菜は、身体の中から温める効果があるとか。夏野菜には夏に育つ理由が、冬野菜には冬に育つ理由がそれぞれあるそうで、自然界って本当にうまくできていますよね。
9月になると今年も4か月となってしまいます。終始、新しいウィルスに振り回された一年になる気がしますが、次回は、この夏の大きな失敗をお届けしようと思います。