山のマナーを学び、考えようというイベント「丹沢登山学校・丹沢マナーズ」が2021年7月18日に、神奈川県秦野市で開催されました!イベントの模様をご紹介したいと思います。
丹沢マナーズとは
今回、訪れたイベント「丹沢マナーズ」は、年間260万人が訪れる東京の人気スポット高尾山でトレイルのマナー向上を提唱しているプロジェクト「高尾マナーズ」の理念を元に、丹沢でも気持ち良く山を利用できる知識を身につけてもらおうと開催されたもの。
この日は、登山をする人が守っているルールやマナーを皆んなで一緒に学び、考えようという趣旨に賛同した日頃から登山やトレイルランニングを楽しんでいる中学生から大人までが参加しました。
会場は表丹沢のベース基地
会場として選ばれたのは、神奈川県の丹沢エリアで最も人気のある塔ノ岳(標高1,491m)の麓に店を構える「YAMA CAFE」。近年は登山者もトレイルランナーも増えたことで、両者の間で起こるトラブルは、ここでも無縁ではありません。
「そりゃ驚いたよ、ビューンと私の脇を通り抜けていくんだから」「ちょっと接触もしたからね、危険を感じたよ」
表丹沢のベース基地となるYAMA CAFEを麓で営む山本さんに興奮してそう言ったのは、地元のベテラン登山者です。去年あたりからそんな訴えをする人が増えていると。
山本さんに問題を起こしているのはランナーだけなのかと質問すると、「コロナ禍になってから初めての登山する人も沢山訪れるようになって、午後の遅い時間から山頂を目指そうとする無謀な人やゴミを持ち帰らない人が増えている、次は何が大きなトラブルや事故になるんじゃないかとヒヤヒヤしながら見守っています」とのこと。
トレランを通じてマナーを知ろう
今回の「丹沢マナーズ」のメインイベントは”びっくり体験”。スペシャルゲストに2019年世界選手権で日本代表を務めたトレイルランナー横内祐太郎選手を迎え、「歩いてすれ違いましょう」がどんなに大切なことなのか、実際に登山者役になった参加者をランナー役の横内選手が減速せずに真横を駆け抜けるという体験をすることで、どれだけ恐くて、どれだけ不愉快なのか感じてもらおうというもの。
前から走ってくるのはもちろん、背後から突然追い抜かれるなど、来るのが分かっていてもドキッとします。参加者がドキドキしながらも、楽しんで参加している様子が見られました。もちろん横内選手による、上りや下り方の走行テクニックや疲れにくい歩き方などのレクチャーを受け、さらに参加者を楽しませていました。
あなたは歩いている人?走っている人?
私たちが利用している登山道でのアクティビティでは、大きく2つのタイプに分類できます。登山者のように「歩いている人」と、トレイルランナーのように「走っている人」です。移動スピードは異なるとはいえ、山が好きだと言う点は共通しています。
そして提唱している基本マナーとルールは5つ。
「歩いてすれ違いましょう」
「譲り合いましょう」
「山々を大切にしましょう」
「トレイルから外れないようにしましょう」
「ゴミは持ち帰りましょう」。
「歩いてすれ違いましょう」以外は、どちらのタイプにも共通しているようです。
今回のイベントで教わったのは、トレイルランナーは歩く人に出会ったら、まず挨拶しましょう。そして走ることをやめて、歩いてすれ違いましょう。歩く人に追いついてしまったら、まず挨拶しましょう、こちらの存在に気づいてもらいましょう。後ろについて歩き、道が広くなったところで、歩いて追い越しましょう。もし、前を歩く人が脇によけて道を譲ってくれたら、お礼を言いましょう。と、とてもシンプルで簡単なこと。常に自分たちの意識を向上して、それぞれ実践をしていこうと思ったのではないでしょうか。
びっくり体験終了後は、場所を移動して『山のマナーについて考える』をテーマにトークセッションが開催されました。ゲストは丹沢ビジターセンターの長縄所長さんや安全走行の指導をされている山岳コーチの坂上さん、YAMA CAFEを営む山本さんなど丹沢愛するメンバーが揃い、参加者全員と「これからも安全に気持ちよく過ごすためには何が出来るのか」といったことや、「これから始める人達にマナーやールールをどうやって届けていくか」などについて熱心に語り合っていました。
まとめ
長い1日も終わり、山の楽しみ方を改めて考え直す盛りだくさんのイベントは、大好評の中で幕を下ろしました。お互いに登山を楽しむ者として、両者の立場に立てば、少し見え方も変わり、お互いに気持ちよく登山道を利用でき、ココロも優しくなれるに違いないでしょう。