【フィンランドの森のスーパーフード】 夏の森の中を歩きながら楽しむ、野生の北極ベリー摘み
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    2016.09.02

    【フィンランドの森のスーパーフード】 夏の森の中を歩きながら楽しむ、野生の北極ベリー摘み

    フィンランドに短い夏がやって来ると、街中のマーケットには色鮮やかなベリーが並びます。フィンランドでは、そこが私有地であっても特別に保護されたものでないかぎりは誰でも自由にベリーやキノコを採取することができる「everyman’s right(すべての人が持つ権利)」が認められ、誰もがフィンランドの自然を享受する権利を持っています。デザートや料理の付け合わせに欠かせないベリー。ベリーが実をつける夏から秋にかけて、人々は森に入ってハイキングを楽しみながら一年分のベリーを摘み、冷凍するかジャムにして保存します。

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    フィンランドに自生するベリーは50種類あり、そのうちの37種類が食用のベリーです。代表的なベリーの筆頭にあがるのはブルーベリー。ビタミンA、B、Cやオメガ3、6を含み、野生2のブルーベリーのアントシアニンの含有量は栽培用のブルーベリーの4倍にもあたるといわれています。

    オレンジ色のクラウドベリーは湿地で育ち、ジャムにされることが多いベリーです。ビタミンCや食物繊維が多く含まれ、種油は化粧品にも使われます。「若さを保つ秘訣はクラウドベリーを食べること」ともいわれるほど、美肌効果のあるベリーとしても知られています。

    リンゴンベリーはフィンランド全域に自生するベリーで、8月後半から10月前半にかけて採ることができます。ビタミンEや食物繊維、ポリフェノールを多く含み、肉料理の付け合わせやプリンなどのデザートにも使われる、保存のしやすいベリーです。

    キャプ:スーパーで売られているジャムの種類も多いリンゴンベリー

    スーパーで売られているジャムの種類も多いリンゴンベリー

    シーバックソーンはフィンランドで採れる食用ベリーの中で特に栄養価の高いベリーです。フィンランド湾の海岸沿いの岩場や砂地に自生する刺の多い灌木に実をつけるため、一般の人が採るのは大変ですが、アミノ酸、有機酸、脂肪酸、ビタミン、ポリフェノール、ミネラル、食物繊維など200種類以上の栄養素を含み、他の果物と比べても特にビタミンCの含有量が突出しています。ガンや2型糖尿病の治療に効果があることが分かり、研究が進んでいます。

    キャプ:街中の食料品店で冷凍されて売られているシーバックソーン

    街中の食料品店で冷凍されて売られているシーバックソーン

    キャプ:シーバックソーンのジュースを使ったカクテル

    シーバックソーンのジュースを使ったカクテル

    野生のベリーを健康食として食べる文化はフィンランドに古くからあり、1400年代には咳止めに使われていたベリーについての記述が残っています。また、現在ではハイキングやベリー摘みのために森に入ること自体が、森林セラピーの効果で血圧を下げ、免疫機能を上げることがわかっています。

    ジャムやジュース、パウダーになったベリーはスーパーマーケットで売られています。最近は、緑茶や紅茶にベリーが入ったフレーバーティーの種類も多く、しっかりとした香りでお土産にも人気です。

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    毎年、春にヘルシンキ市内で行われる食のイベント「ストリート・ヘルシンキ」の主催者の一人であるミッラさんは、「森に入ってベリーを摘むことは最高の贅沢。私の理想の夏の過ごし方は、森に入ってベリーを摘んで湖沿いのコテージのサウナに入り、湖で泳いだ後に森で採ったベリーを食べてリラックスすること」と話します。

    「今、若い人たちの間でワイルドフードやフォレジンング(採集)が注目されるようになっています。でも、フィンランドではそのコンセプトは昔からあったもの。祖母の世代の人たちから植物の持つ力とその使い方をもう一度教えてもらっているのです」

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    ヘルシンキの周辺にはヘルシンキ・セントラルパークやヌークシオ国立公園など、中心街からバスで30〜40分程度の距離にベリー摘みのできる場所があります。「ベリーの種類がたくさんあって、どのベリーが食べられるものなのかわからない」という人には、観光客向けのベリー摘みのツアーも準備されています。

    東フィンランドでは1時間でリンゴンベリーをどれだけ摘めるかを競う、ベリー摘み世界選手権が行われるほど、ベリー摘みはフィンランドの人たちにとって特別な行事です。マーケットでもベリーは買えますが、緑溢れる森の中で野生のパワーが凝縮された摘みたてのフレッシュな北極ベリーを食べれば、身体の内側からもフィンランドの自然の恵みをたっぷりと感じることができそうです。

    取材協力/フィンランド政府観光局
    文・写真/東海林美紀

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