日が暮れはじめる頃、周辺の山中で放牧されていた数百頭ものヤギたちが、遊牧民たちの居住区に戻ってきました。メエ、メエと鳴き交わしながら、自分たちの寝ぐらへと歩いていきます。
石垣に囲われた寝ぐらの中に、我先に駆け込むヤギたち。ちょっとした交通渋滞です(笑)。
遊牧民たちは、囲いの中に戻ってきたヤギたちの首をひもで互い違いにくくり、一直線に並べます。なぜか恍惚の表情を浮かべるヤギたち。どうしてこんなことをするかというと……。
こうしてヤギの乳を絞るためなのでした。慣れた手さばきで、ちゅっちゅっと乳を絞っていく遊牧民のおばさん。これも彼らにとって、厳しいこの地で生きていくために欠かせない仕事なのです。
山本高樹 Takaki Yamamoto
著述家・編集者・写真家。インド北部のラダック地方の取材がライフワーク。2016年3月下旬に著書『ラダックの風息 空の果てで暮らした日々[新装版]』を雷鳥社より刊行。
http://ymtk.jp/ladakh/
山本高樹 写真展「Summertime in Ladakh」
会期:2016年9月9日(金)〜30日(金)(月曜休)
会場:ポイントウェザー
神奈川県横浜市港北区綱島西1-14-18
http://pointweather.net/