ラダック地方の巨大な湖ツォ・モリリの北西にもう一つ、ツォ・カルと呼ばれる塩湖があります。「白い湖」という意味のその名は、岸辺にうねるように堆積している塩の塊の姿に由来しています。ツォ・モリリと同様、この湖の一帯にも、湿原が育む希少な生態系と高地ならではの野生動物の姿がみられます。
雨の降る中で撮影したので見づらいですが、ブラックネック・クレーン、ラダックでチャトゥントゥンカルモと呼ばれるツルを湿原で見つけました。成鳥が2羽、奥に子供が1羽います。この鳥は、夏になるとこのあたりに飛来してくるのですが、最近ではこうして人目につく場所で見かけることはめっきり少なくなったそうです。僕自身、ラダックでブラックネック・クレーンを見たのはこれが初めてでした。
見渡すかぎりの平原の只中で出会った、キャン(チベットノロバ)。茶と白の美しい毛並み、すらりとした四肢、たてがみと長い尻尾。以前、現地の友人が教えてくれた「人生は長い。キャンの尻尾も長い」ということわざめいた言葉を思い出しました。