ツォ・カル湖畔にある小さな集落、トゥクジェの背後にある岩山に、小さなゴンパ(僧院)がありました。岩壁にへばりつくように建てられた古いお堂。何やらいわくがありそうです。お堂の鍵を管理しているこの村のおばあさんに頼んで、中に入れてもらいました。
お堂の中には、仏壇の間に人間一人がやっと通れるほどの狭い岩の裂け目があり、その奥にはなんと、女尊の像がひっそりと安置されていました。ラダックのゴンパとしては非常に珍しい造りです。この像の内側には、かつてこの場所で見つかった仏の形をした聖なる石が入っているのだそうです。
地球温暖化の影響で、ツォ・カルの湖水の量は年々減少しつつある、と現地の人が教えてくれました。このままでは、周辺の湿原と生態系にも何らかのダメージが及ぶかもしれません。この地の自然とそこで生きる人々にとって、何か良い結果に結び付けられる選択肢があるといいのですが……。
【天空の湖ツォ・モリリ1】
【天空の湖ツォ・モリリ2】
【天空の湖ツォ・モリリ3】
山本高樹 Takaki Yamamoto
著述家・編集者・写真家。インド北部のラダック地方の取材がライフワーク。2016年3月下旬に著書『ラダックの風息 空の果てで暮らした日々[新装版]』を雷鳥社より刊行。
http://ymtk.jp/ladakh/
山本高樹 写真展「Summertime in Ladakh」
会期:2016年9月9日(金)〜30日(金)(月曜休)
会場:ポイントウェザー
神奈川県横浜市港北区綱島西1-14-18
http://pointweather.net/