1.ツェルマット村から見るマッターホルン
スイスの山岳観光地は10月上旬から中旬にかけて紅葉が真っ盛りとなる。実は意外と知られていないとてもおすすめの時期だ。なぜなら団体客が少なく、静かで落ち着いた秋を堪能できるから。可憐な高山植物は時期を終えているが、カラマツの林が黄色く輝き、マッターホルンにうっすら雪がつき、青空とのコントラストが素晴らしい。
ハイキングやマウンテンバイク、パラグライダーを楽しむ人々で賑わう。気を付けたいことはゴンドラなどの乗り物が秋休みとなり営業していない場所もあるので、交通事情を確認してから出かけることが必要だ。
ツェルマットの村からでも黄葉を楽しむことができる。写真の橋からの景色は見たことがある人も多いだろう。夏のハイシーズンは朝焼けを見るために多くの観光客がこの橋に集まる。
2.フーリから吊り橋エリア
スイスでは広葉樹林が広がる標高1300m辺りまで木々の葉が褐色や黄色、赤色に紅葉する。エリアにも異なるがその上から森林限界の標高約2200m前後までは針葉樹林のカラマツが黄金色に黄葉する以外は緑色のままとなる。日本人の私はもみじの鮮やかな赤の紅葉が恋しく感じるが、スイス在住が長くなってくるとカラマツの黄葉に愛着がわいてくる。
ゴンドラでマッターホルン・グレッシャー・パラダイス駅へ向かう途中のフーリ駅周辺はカラマツ林がとてもきれいなエリアだ。ツェルマットからもゆっくり登って約1時間。木漏れ日が差し込み森林浴が気持ち良い。
もう少し登っていくと、高さ約90mの吊り橋がある。足元が透けているので、緊張が走る。風が強い日は帽子やサングラスが飛ばないように気を付けよう。直下にはゴルナー氷河が溶けて水が岩を削ったゴルーナー渓谷がある。この先には森の公園やBBQプレイスがあり、子供と行くのにおすすめだ。
橋からはスイス国内の最高峰4545mのドーム(左)やテーシュホルン(右)の絶景が広がり、テンションが上がる。ちなみにスイス最高峰は4634mのモンテローザ。スイスとイタリアの国境をまたがり位置している。緑色の木はマツ科のトウヒだ。>
森林限界を超えていくとカラマツも少なくなり、背丈が低くなる。秋は空気が澄み山も美しく見える。登山道は整備されているが、岩場も出てくるので、お気に入りのスポルティバの登山靴やトレイルランニングシューズは軽くソールのグリップも良く重宝する。
3.スネガエリア
標高2288mの展望台スネガエリア周辺も絶景が広がる。このエリアは遠くからマッターホルンの東壁と北壁が均等に綺麗に見えることで人気だ。
スネガエリアには山上湖がいくつかあり、そのうちの一つが標高2334mのグリンジーゼー。逆さマッターホルンが湖に映ることで有名だ。逆さの黄葉とマッターホルンが映る湖はここだけ!特別感たっぷり。
同じ場所の反対側はこんな景色。雪がうっすらついている山はオフピステのスキーが楽しいエリア。冬が待ち遠しい!
4.リッフェルアルプ
ゴルナーグラート登山鉄道は365日運行している。秋でも営業を気にせず出かけることが可能だ。途中駅のリッフェルアルプから5分ほど歩くとマッターホルンに出会える。ここはちょうど森林限界。
一段下がるとカラマツ林があり、秋でもここはあまり歩かず簡単にアクセスできるおすすめスポット。
ツェルマットのマスコットキャラクターは黒鼻羊
顔と足が黒い黒鼻羊。ツェルマットのオフィシャル・マスコットキャラクターになっており、絵本やグッズの販売がされている。夏は牧草地で放牧され、秋は村の近くに降ろして毛を刈り、小屋の中で冬を過ごす。9月には一番美人な黒鼻羊を決めるコンテストもあり、楽しいイベントだ。
あまり知られていない秋のツェルマットの魅力が伝わればとてもうれしい。鹿や猪、野うさぎ、マーモットなどのジビエ料理も今しか味わえない貴重な季節。きのこやかぼちゃ、栗も旬の食材だ。来年には皆さんにも秋のスイスを楽しんでいただけるようになると願う。
旅の情報
スイス政府観光局
https://www.myswiss.jp