軽自動車でも快適な車中泊ができる?
車の中で寝泊まりする『車中泊』は、キャンピングカーや大型車をイメージする人が多いのではないでしょうか。軽自動車でも選び方さえ間違えなければ、快適な車中泊を楽しむことができます。
軽自動車で車中泊するには
適切な車種と人数ならOK
軽自動車で車中泊をする場合は、車種と泊まる人数をしっかりと選ぶことが大切です。排気量660cc・全高2m以下といった軽自動車を定義づける要素の中でも、特に注目すべきポイントは『車の全高』、いわゆる車高の高さです。
以下のように車高が高いものであれば、軽自動車ながら車内空間はゆったり作られている傾向があります。
・180cm前後(ワンボックス系)
・170cm以上(スーパーハイトワゴン系)
・160cm以上(トールワゴン系)
車高が高く、荷物の収納・出し入れに便利なスライドドアやフルフラット機能などが備わった軽自動車であれば、宿泊するのに困ることはなさそうです。ただし、快適に車中泊するためには人数を1~2人にとどめるとよいでしょう。
時間や費用の節約にもなる
キャンプ場に着くのが遅くなったり、テントを張るのを面倒に感じたりするときに、乗ってきた車で車中泊できたら便利です。キャンピングカーや大型ワゴンを購入するとなれば費用もかさみますが、軽自動車なら安く抑えることができるでしょう。
テントを張る手間やホテルを探す時間、チェックイン時間などを気にする必要はありません。鍵をかければ防犯上も安心と、メリットがたくさんあります。
寝心地を心配する人がいるかもしれませんが、シートがほぼ平らになるフルフラットシートの車種を選んだり、ベッドキットを購入するなど、狭い車内でも快適な睡眠を確保することは可能です。
付属品を買って車中泊仕様にするとしても、車の値段自体が安い軽自動車ならトータルの改造費も安く済むでしょう。
車中泊する軽自動車の選び方ポイント
車中泊に適した軽自動車には、共通するポイントがいくつかあります。それらをしっかり押さえたお気に入りの車があれば、車中泊という非日常をいつでも味わうことができます。
車中泊に適した軽自動車の選び方
圧迫感の少ない広い車内か
車中泊をする際、足を伸ばして寝られるかどうかは大切なポイントです。ずっと同じ姿勢でいると、静脈に血のかたまりができてしまうエコノミークラス症候群を引き起こしたり、腰や肩が痛くなったりする可能性もあります。
天井に高さがあれば着替えや出入りが楽で圧迫感も少なく、快適に過ごせるでしょう。キャンプや車中泊はアウトドア用品・着替え・食料など荷物が多くなりがちです。積載量が多く開口部の広い軽自動車なら、たっぷり収納できて荷物の積みおろしにも便利です。
また、就寝時には横になれるだけでなく、寝返りもスムーズにできるかどうかをチェックしてみましょう。
シートアレンジが自在にできるか
シートをどの程度倒せるかも、ぜひチェックしておきたいポイントです。車種によっては床と平行になるほどは倒せない場合もあるので、購入前にカタログや試乗でしっかり確認しておきましょう。体を伸ばしてぐっすり眠れたら、車中泊の満足度は格段に上がります。
車内全体がフルフラットになるシートアレンジができると、車自体が大きなベッドのように使えるので窮屈さを感じず、快適に過ごせそうです。
段差があったり、シートが十分に倒せなかったりする場合は、別売りのベッドキットやエアーマットを使うことで、車中泊に適した空間に変えることも可能です。
燃費性能にも注目する
キャンプ場に向かうには遠出する場合が多く、燃費性能が高いかどうかは大きなポイントです。特に車中泊の場合、季節によっては就寝中にも暖房や冷房をつけておくことがあるため、燃費のよい車で出費を抑えたいところです。
近年、電気モーターをエンジンと併用させたマイルドハイブリッドシステムを搭載している軽自動車が増えています。通常の軽自動車よりも格段に燃費性能が向上するので、広さやシートアレンジが同じくらいの車種であれば、燃費性能に着目して選ぶのもよいでしょう。
車中泊におすすめの軽自動車
さまざまな人が、いろいろな車種で車中泊を楽しんでいます。今回は車中泊ができる人気の高い軽自動車を3台紹介します。
おすすめの軽自動車はこれだ!
スズキ「ハスラー」
『あたらしい遊べる軽!』のキャッチコピーでスズキが販売している軽自動車がハスラーです。
軽SUVとして2014年にデビューして以来、カジュアルながらもクールな外観や、アウトドアやレジャーに使いやすいアクティブな内装・装備がヒットし、車中泊の定番車両として有名になりました。
車中泊での寝心地に大きく影響するフルフラットシートをはじめ、便利なギアが純正オプションとして用意されています。
気になる広さは、シートをフラットにした状態で、長さが約210cm、幅が約105cm確保できます。大人2人が快適に眠れる、車中泊に最適な軽自動車の一つといえるでしょう。
ダイハツ「タフト」
『青空SUV』を謳うダイハツのタフトは大きなガラスルーフが特徴的な軽SUVです。
スズキのハスラーと同様、車中泊やアウトドアに使える軽自動車を目指して設計されています。フルフラットにした際に隙間がほとんどなくなるほか、枕元にあたるトランク側に小物入れを配置してあり、快適な車中泊が可能な仕様になっています。
また、タフトを語る上で外せない大きな特徴が、天井の大型ルーフ『スカイフィールトップ』です。
このルーフがあることで、車中泊をした際に空を見ながら眠ることができるのです。
大人2人が横になり、空を眺めながら眠りにつける軽自動車なら、キャンプや山奥に行った際の車中泊をより楽しむことができるでしょう。
ホンダ「N-VAN」
車中泊のみならず、バイクや自転車を運搬するトランポ車両としても人気が高いのが、ホンダの『N-VAN』です。
上の二つの車種が軽SUVであるのに対し、N-VANは荷物を積むことを中心に考えられた商用色の強い軽バンです。しかし、低い床のおかげで天井スペースを確保できることや、荷物をたくさん詰めること、そしてシートを倒すと大きなスペースが作れることから、車中泊用の車両としても人気を集めています。
また、単なる車中泊のためだけでなく、キャンピングカーに改造するためのベース車両として選ばれることも多い車です。本格的なキャンピングカーへの改造はもちろん、DIYでキャンピングカーにする人も多く、インターネットにはさまざまなカスタム例が掲載されています。
オリジナルの車中泊専用車を作りたい人にも最適な軽自動車といえるでしょう。
車中泊に役立つグッズ
車中泊をするときに持っておくと便利なグッズを紹介します。アイテム一つ、工夫一つで快適さはぐんとアップします。
あると便利なお役立ちグッズ
マットや寝袋
凹凸の気になるシートにはエアーマットやウレタンマットなどを敷くことで、すぐに快適なベッドルームができます。敷くだけなので、どのような車種にも適しています。
木材やパイプなどホームセンターで売っているような材料を使って、オリジナルのベッドマットを自作すれば、車内の広さにかかわらず快適空間を作り出せます。
もっと簡単に隙間を埋めるアイテムとしては、クッションやブランケット、毛布などがあります。寒さ対策として寝袋(シュラフ)があるとさらに便利です。断熱材がない車の中は、夜間、急激に冷えることもあります。寝袋なら使わないときは丸めて収納しておけるので、狭い車内でも活躍することでしょう。
カーテンやサンシェード
覗き見防止や寒さ・暑さ対策として、サンシェードやカーテンは必須です。
カーテンはどのような窓の形にもフィットして、開閉も楽にできます。マグネットタイプのカーテンなら、付ける場所は選びますが、新たにカーテンレールを設置する手間もありません。色や素材を工夫すれば『自分だけの空間』を演出することもでき、さらに愛着がわくでしょう。
サンシェードは断熱性能に優れ、冬場の車中泊でも活躍するアイテムです。ある程度しっかりとした厚みがあり、窓のサイズにぴったりと合うサイズ感のものを選びましょう。窓が開閉しづらくなることもありますが、直射日光や屋外の光もしっかりと遮ってくれるうえ、プライバシー保護にも役立ちます。
ルーフボックス
ルーフボックスとは、車のルーフに取り付けられる+αのラゲッジスペースです。荷物が多くなりがちなアウトドアやキャンプで活躍する便利なカー用品の一つです。とくに軽自動車での車中泊では『もう一つの収納場所』としてぜひ活用したいアイテムです。
海や川遊びで泥だらけになった濡れた衣服やアウトドアグッズも、ルーフボックスに入れてしまえば車内が汚れることはありません。荷物が減って車内のスペースが広がるため、就寝時の空間を確保するのにも役立ちます。
ただし、ルーフボックスの分、全高が高くなってしまうので、立体駐車場や屋内の駐車場など、高さ制限のある場所には注意が必要です。全体で何メートルになるのかをしっかり把握しておく必要があるでしょう。
まとめ
アウトドアブームで流行する車中泊の中でも、軽自動車を使った車中泊はその手軽さが注目され、特に人気が高まっています。
メーカーも車中泊を前提とした設計を行っており、自動車雑誌で軽自動車を使った車中泊の特集が組まれることも少なくありません。
今回は、そんな『軽自動車での車中泊』をする際のポイントを紹介しました。車中泊や軽自動車の買い替えを考えている場合はぜひ参考にして、理想の車両とともに快適な車中泊を満喫してみてください。