「No bike、No Life!」から見つけた、新しいチャレンジ
——東京裏山ベースを立ち上げたきっかけはなんですか?
もともとは、ショップオーナーをめざしていたわけではないんです。最初は、純粋にみんなが集まれる場所をつくりたいという気持ちでした。
私は、MTBライダーなのですが、私自身が五日市の魅力に魅せられたひとりなんです。もう20年ほど前になりますが、大学で四国から東京に上京し、どこかいいフィールドがないかと探していたときに、たどり着いたのがこのエリアでした。都市部からアクセスがいいのに、ほんの数分で魅力的なMTBフィールドもあり、さらに素晴らしい大自然が広がっている。すぐに魅了されて、時間を見つけては通うようになっていったんです。
そして、そうこうするうちに、今から約5年前に武蔵五日市駅近くに引っ越し、さらに3年前には少し奥の檜原村に移住しました。
五日市〜檜原村での生活では、アウトドア仲間やさまざまな友人・知人も増えました。より、この場所に愛着を覚えるようになったのですが、一方で、例えば過疎化などの課題も自分ごととして捉えるように。
それで、何か自分らしい関わり方で課題に取り組めないかと思いついたのが、五日市の魅力を発信できて、人が集まれる場所づくりだったんです。そのためには、みんなで作るひみつ基地のような、シェアスペースのような、今の店のスタイルがいちばんだなと考えました。
しかし、これまでMTBツアーの企画などはしていたものの、店舗の立ち上げも運営も素人。家族もいますから、しばらくはそのアイデアは寝かせておいたんですね。
ところがある日、以前この場所で開業していたレンタサイクルショップがお店を閉めることになり…、使命感というわけではないですが、それならばとアクションを起こしたというわけです。
——オープンでの苦労話などはありますか?
今でも苦労はありますが、それよりも、ありがたかった話ばかりですね。
先ほどお話しした通り、はじめてのことで、資金も潤沢にあるわけじゃない。それで、どうしたものかと考えていたときに、「FAAVO」というクラウドファンディングを知り、五日市の魅力、自分や仲間たちの思い、地域の課題などを発信して、資金を募りました。結果的に目標金額の倍以上の支援を得られ、地元だけではなく、あらゆる地域の方々に応援いただきました。
また、この内外観のデザインや空間づくりも、たくさんの仲間たちの協力あってできたものなんです。
今でも、カフェは、五日市に拠点を置く地元の若者たちのアウトドアイベント会社「do-mo」が運営を頑張ってくれていますし、本当にたくさんの縁やつながりに助けられているなと、実感しています。
また、振り返ってみると、五日市の魅力を知ったのも、仲間に出会えたのも、さらに、今こうして新しい目標にチャレンジしているのもMTBのおかげ。私は、「No Bike, No Life!」を自分のキャッチコピーにしているのですが、まさにMTBは自分の生活そのものです。