「簡易携帯トイレ」はキャンプやアウトドア遊びの必携品
災害などで家庭のトイレが使えない非常時はもちろん、アウトドア遊びでも大活躍する「簡易携帯トイレ」。
たとえば雨の日のテント泊。暗い夜にぬかるんだキャンプフィールドを横切ってトイレに行くのは、大人でも気が重いものです。小さいお子さん連れなら、渋滞中の「パパ、トイレ!」の声にあせった経験もあるかもしれません。
また、車中泊するときにはトイレの有無に左右されがちですが、車内に携帯トイレがあるだけで場所選びの自由度が高まります。
最近の100円ショップは、アウトドア用品の充実ぶりに驚かされることもしばしばですが、いざというときのために備えておきたい「簡易携帯トイレ」もたくさんの種類があります。
そこで、「セリア」と「ダイソー」で買える100円アイテムの簡易トイレをテストし、実際に役に立つ簡易トイレはどれなのか、検証してみました。
6メーカー7商品の比較検証方法
各製品の対応容量は、300ccから500ccまで幅がありました。また、複数のパッケージに「成人の1回の排泄量は250cc~350cc」という記載があります。
今回は中間値の300ccの水で比較してみたいと思います。
すべての製品に共通するのは、小さく折りたたまれた袋を広げて排尿し、凝固剤で固めて廃棄できること。水が使えない災害時や、渋滞中の車内、トイレのないアウトドアフィールドなどでの使用が想定されています。
価格はすべて税込110円です。
エルオー「おしっこ用携帯ミニトイレ袋」
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男女兼用
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容量約300cc
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セリアで購入
トップバッターは株式会社エルオー「おしっこ用携帯ミニトイレ袋」です。ファスナーを開けて本体をふくらませ、女性の場合は受け口を折り返して使います。受け口がクッション素材で、身体にあたる感覚がソフトです。
以下の商品も同様なのですが、逆さにすると粉状の吸水剤がこぼれ出てくるので注意が必要。受け口周辺まで粉が出てしまうと、身体に付着する可能性があります。
水分が加わると、ものの10秒ほどでゼリー状になりました。傾けると塊のままゆっくりと滑り降りてくるくらいの粘度。
使用後はファスナーを閉めるだけで廃棄できるので、手が汚れることもありません。容量は約300ccと少なめですが、後述するダイソー製品とほぼ同じスペックで、ごく標準的な商品といえるでしょう。
石崎資材「ワンタッチ携帯トイレ」
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男性用、女性用あり
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容量500cc
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男性用はズボンの中でも使用可能(ジーンズなど密着した衣服では不可)
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セリアで購入
続いては大容量500ccの商品です。本体が黒ポリ袋なので、排泄後も中身が見えず安心です。
開封後、厚紙を折り曲げて受け口を作ります。おそらくジャージなど腰回りに余裕のある服ということになりますが、男性用はズボンの中でも使用可能。
使用後には本体を折り曲げるだけで逆流を防ぐとのこと。密閉しているわけではないので、強く圧迫しない方がいいでしょう。
男性と女性、それぞれの身体に合わせて作られているのは頼もしいですが、女性用は使い方に少し迷いました。男性目線でのフィット感やサイズ感はまた違うかもしれません。
ミツキ「片手でカンタン!携帯簡易トイレ」
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男女兼用
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容量約350cc
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セリアで購入
この商品も、片手で簡単に受け口を立体化できます。内側に折り込まれているポリ袋を引き出せば準備完了。
今回比較した商品の中で、もっとも大きく口が開くのがこの商品でした。女性の場合、広範囲にあてがえるのは安心感があります。また、受け口が厚紙で丈夫なので、隙間ができないようしっかり押し当てることができます。
凝固剤は薬包紙のような薄紙に包まれており、傾けてもポロポロとこぼれ出てくることがありません。これは使いやすい!
ただし、使用後はポリ袋を台紙から外して結ぶ、という一手間があります。また、ポリ袋が透明なので、尿を目視できてしまうことが少し気になるかもしれません。捨てるときの黒ポリ袋も同封されていますが、本体を色つきのポリ袋にしてくれたら100点満点でした。
武田コーポレーション「携帯用トイレセット」
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男女兼用
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容量約500ml(500cc)
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前掛けシートつき
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セリアで購入
こちらの商品は、使用時のプライバシーを確保するための「前掛けシート」が付属しています。
こちらの前掛けシート、厚さや強度はやや頼りないですが、使用している部位を大きく隠すことができます。
おそらく自然災害など、本当の緊急時を想定しているんですね。容量も500ccと、成人男性でも安心なサイズです。
受け口が大きく弓なりになっていて、どう使ったらいいのか迷ってしまう形状なのですが、軟らかいクッション部分を広げてグッと押し当てるのだと判断しました。フィット感にはやや欠けますが、500ccの大容量は魅力です。
小久保工業所「緊急簡易トイレ1回分」
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容量記載なし
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男女兼用
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洋式トイレ、バケツなどの容器が必要
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セリアで購入
今回ご紹介する商品の中では唯一、洋式トイレの便座やバケツなどに「かぶせて使うタイプ」になります。アウトドア用というよりは、災害時のために家庭に備蓄しておく商品といえるでしょう。
緊急時には容器なしで使うこともできそうですが、袋の口がかなり大きいので身体に密着させるのが難しいです。まんべんなく凝固剤をかけることができれば、吸水性能には問題ありません。
ダイソー「携帯ミニトイレ」「携帯用ミニトイレ」
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いずれも男女兼用
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いずれも容量300cc
この2商品、品番やパッケージが違いますが、内容物はまったく同じと思われます。ファスナーを開けて本体をふくらませ、女性の場合は受け口を折り曲げて使うことも同じ。
使用感は最初にご紹介した株式会社エルオー「おしっこ用携帯ミニトイレ袋」と似ています。容量は300ccで少なめ、受け口の感触はソフトで心地いいですが、密着度にはやや劣ります。とりたてて特徴のない、平均的な商品といえるでしょう。
結論
以上6社7製品の検証レポートでした。
凝固剤の固まり具合はどの製品も遜色なく、水もれなどのトラブルもまったくなかったので、「買ってはダメ」といった低品質のものはありませんでした。
理想をいえば500ccの容量を確保しながら、ファスナーでワンタッチ開閉でき、凝固剤がこぼれず、内容物が見えないものがいいのですが、そんな理想をすべてを満たす商品はなし。
尿量が多くても安心なのは…
成人男性など尿量が多い人は、500cc対応の石崎資材「ワンタッチ携帯トイレ」か武田コーポレーション「携帯用トイレセット」がおすすめです。
しっかり固まるか不安、という方は購入時に容量に注目してみてください。
女性目線で選ぶなら…
女性目線で「ずれてるかも」という心配がいらず使いやすかった商品は、ダントツでミツキ「片手でカンタン!携帯簡易トイレ」です。足元に比較的大きなスペースが必要となるものの、広範囲をカバーしてくれます。
というわけで、大容量の石崎資材「ワンタッチ携帯トイレ」と武田コーポレーション「携帯用トイレセット」、大きな受け口のミツキ「片手でカンタン!携帯簡易トイレ」が1歩リード!
ぜひ参考にしてください。