冬を告げるベルン伝統のお祭り
スイスの首都であるベルン。ここでは毎年11月の第4月曜日に「タマネギ市」が開催される。なんと600年以上も続く伝統的なお祭りだ。屋台には紐でつないだタマネギやニンニクが吊り下げられ、パンやお菓子、チーズなどが販売される。約50トンものタマネギとニンニクが運ばれるそうだ。
2020年は規制がかかり中止となったが、2021年は11月22日の月曜日に2年ぶりに開かれ、待ちに待った多くの人で賑わった。今までと異なるのは感染症対策のためにお酒の販売がないこと。
日本では考えられないようなおもしろいポイントがあったのでご紹介しよう。
美しいタマネギのオーナメント
タマネギ市の由来は1405年まで遡る。ベルンで大火災が起こり、木造で作られた街は約3分の2が破壊されてしまった。その際に近隣都市フリブール州の農民たちが復旧作業を手伝ってくれたことから、彼らにベルンで農作物を販売する権利を与え、そのときから始まったといわれている。
その後、ベルンの街は砂岩で建て直され、街のトレードマークとなるアーケードが完成。雨でも濡れずに街を歩きショッピングを楽しむことができるようになった。
ベルン旧市街とベルン駅の間にある連邦議事堂前のブンデス広場にタマネギのオーナメントと様々な屋台が出現する。正式な時間は午前6時から午後6時まで。しかし実際には日の出前の午前4時から店が始まり、始発電車がベルンに到着する午前5時には人々が集まり賑わいはじめる。朝一番に行かないと午後には素敵なデザインのタマネギのオーナメントが残っていないのだ。
写真のようなひょうきんでいきいきした表情のタマネギたちがたくさん。思わずおうちに連れて帰りたくなる!
タマネギ市あるある1:ピコピコハンマ―
この日だけは、なぜかピコピコハンマーで子供が大人を叩いてよい日になっている。子供たちは屋台でハンマーを購入。
そしてこっそり大人のお尻を狙って・・!!!叩いても怒られない日なのだ。これは他のエリアのお祭りでは見ることのないベルンだけのスペシャル。
タマネギ市あるある2:飴ちゃんの首飾り
ここでは、輪になっている飴を首に下げてお祭りを楽しむのが定番。味は赤がいちご、青がリフレッシュミント、オレンジは柑橘系、緑がペパーミントとなっている。
タマネギ市あるある3:紙吹雪
スイスのお祭りではコンフェッティと呼ばれる紙吹雪を見かけることが多い。カラフルなコンフェッティを子供たちが投げ合い、大人にもかけておおはしゃぎ!筆者の子供たちはコンフェッティを通りすがりの大人や子供にかけてエンドレスで楽しんでいた。
やがて街中がカラフルに染まっていく。しかしお祭り終了後にはしっかりと清掃が入り、翌日には元のきれいな街に戻るのがスイズの素晴らしいところだ。
なんと連邦議事堂前の地面も紙吹雪で埋め尽くされる。お祭り終了間際の午後7時頃が一番カラフルになる。
子供にコンフェッティをかけられてもピコピコハンマーで叩かれても、この日だけは大人たちも大きな心で受け止め、笑顔が絶えない一日となる。
ほっこりとする屋台の様子
冷えた体にしみるホットワイン
この日の気温は2度前後。スパイスの効いたホットワインを楽しみたいところだが・・。今年はお酒が禁止。ノンアルコールのホットワインやホットリンゴジュースで体と手が温まり幸せを感じた。
濃厚で美味しいタマネギとチーズのパイ。
軽食には名物の”タマネギチーズパイ”
ベルン中のパン屋さんは、タマネギとチーズのパイをたくさん作り販売する。お昼ごはんやおやつに最適。
子供たちがとりこになるお菓子屋さん
お菓子屋さんには、カラフルな飴やクッキー、チョコレートや綿あめが並び子供たちも大喜び。お店に吊り下げられている茶色いお菓子は、ハチミツやシナモンなどの香辛料、オレンジやレモンの皮、ナッツが入ったレープクーヘンのケーキ。聖ニコラウスの日(12月6日)やクリスマスによく食べるお菓子だ。
いつかスイスのお祭りへ!
クリスマスが間近ということもあり、キャンドルやリースのお店も数多く出ていた。これからはクリスマス・マーケットも盛り上がる季節。大人も子供も楽しいベルンのタマネギ市。日本のお祭りとは変わった楽しいおちゃめな雰囲気が伝わればうれしい。コロナが収束したら、いつかスイス各地のお祭りにいらしてください!
スイス政府観光局サイト
https://www.myswitzerland.com/ja/experiences/events/customs-tradition-events-in-summer-and-autumn/zibelemaerit-in-bern-be/