「ここを訪れる人に自分で暮らしをつくることの楽しさを感じてもらいたい」と語るのは、茨城県石岡市八郷地区にある「ORGANIC FARM 暮らしの実験室」(以下、暮らしの実験室)のスタッフ、茨木泰貴さん。暮らしの実験室は、ニワトリやブタを育て、有機無農薬で野菜を育てる循環型農場だ。
農場は、現地のスタッフと会員の会費で運営され、農体験やイベントを通し、その活動が一般に広く開放されているのが特徴である。個人が所有しているのではなく、みんなが自分の農場という思いで、その活動に参加しているのだ。
農場の活動やイベントには誰でも参加でき、この場所で初めて出会う多くの人たちがひとつの食卓を囲む光景などは、ゲストハウスやシェアハウスのような雰囲気もある。
暮らしの実験室は、1974年、都市に暮らす人たちと地元の農を志す青年が「自分たちで安心安全な食べ物を作ろう」という思いで建設された「たまごの会」がその起源。八郷はこのたまごの会がきっかけになって、新規就農する有機農家が増えるようになり、今では日本有数の有機農業の町として知られるようになった。