少し待つと、ビク、ビクビクビクッと明らかに魚だとわかるアタリがあった。しかし乗らない(針にかからない)。でも、いる。よし、今度こそ。するとまたビクビクッと来たのでゆっくり合わせると、今度は乗った。「沼野さーん、来ました!」と大声を上げる。カメラを手にした沼野さんがこっちへ近づいてくる。リールを巻いてくると、見えてきた! 待望のキスがひらひらと浮かんでくる。あと少し。カメラを構える沼野さんに向かって「いきますよー!」と魚をあげようとしたそのとき、まさかのバラシ。キスは海へ帰って行ったのだった。
まぁ、こんなこともあるさ。それが釣りってものだ。しばらく流されて沖に出過ぎてしまったため、また最初のポイントまで漕いで戻り、また流す。キス釣りは基本その繰り返しとのこと。そうした移動の際も、足漕ぎだとほとんど苦労を感じない。むしろ、漕いでいるのが楽しい。また、スペースについても試乗のときは釣りをするならちょっと窮屈かもしれないと感じたが、実際にやってみると全然平気だった。振り向いてクーラーボックスの中から飲み物を取り出すのも、なんなく行えた。