雨が続きなかなか外で遊ぶ機会が少なかった9月。天候が安定した一瞬を狙って幼稚園の子供達と里山へ遊びに行った。しっとりとした日々から解放されるべくそれぞれ自由に思いっきり発散するのだ。
こういう活動では2チームに分かれることが多い。ひとつは未開の地を見に行きたい「冒険チーム」。そして素敵なものを見つけて集める「コレクターチーム」だ。僕は女子ばかりが集まった「コレクターチーム」と一緒に里山の森の中を進むことにした。スタート前の作戦会議時にコレクターチームは、
「たくさんお花を摘むの〜」
「私は木の実でおままごとする!」
「綺麗な葉っぱをたくさん集めて幼稚園に持って帰る!」
と、乙女心満載のトークが炸裂していた。「今回はのんびりお散歩モードかな?」と思っていたのもつかの間。コレクターチームは突然森の中を走り出した。
目的の共有が出来た乙女達は、今まで通ったこともない道を平気で進み続ける。しまいには“どっちへ進むか”を決めるのにスタックしている冒険チームと鉢合わせになるや「あ、冒険チームだ。違うところ行こっか?」と言って、冒険チームに背中を向けて草をかき分けさらに奥へと駆け出す始末…。
お花摘みを目的としたこのチームは、目的こそ乙女チックだが、行動は冒険チーム以上にワイルドで、チーム内の決断力も早かった。
もちろん目的のコレクションも忘れていない。クズの花を見つけたときは、
「この花小さくて綺麗だね!集めようよ」
「においがいい感じ。ブドウ飴のにおいがする!」
「ジュースにしたらきっとおいしいよ〜」
など、終始ニコニコ顔で草花とふれあっていた。
時間ぎりぎりまで花摘みを楽しんだ乙女達は最後、集合場所までの道のりを登りも下りも関係なく猛烈に走って帰っていった。
乙女心とワイルドさを持ち合わせた園児達。目的とその課程にある内容の幅が広いのが幼児の面白いところでもある。目的設定とその中に込める要素という重要なプログラムデザインの最新式をさせてもらった一日となった。
ちなみに、冒険チーム以上にフィールドを駆け巡った乙女チームは、手足全部がドロドロになっていた。未来の地球を担う女子達は心強いぞ!
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長谷部雅一
アウトドアプロデューサー。
アウトドアイベントの企画・運営を手がける「Be-Nature School」スタッフ。人と自然をつなぐインタープリターとしても活躍中。
著作に『ネイチャーエデュケーション』1300円+税 みくに出版