さきほどヒットしたあたりまで戻ると、魚探にたくさんの影が。これ全部カマスなんだろうか。ひとまずルアーをキャストすると、またすぐにヒット。上がってきたのは、また大きなカマス。注意深く針を外すと、やはり手間取る。また流される。戻る。投げる。ヒットする、の繰り返しとなる。大げさではなく、ルアーを投げて釣り上げている時間より、針を外している方が長いほど。
まさに1キャスト、1バイト、いや、バレてまた違う魚がかかったりするので、1キャスト、3バイトくらいある。ルアーでこんなに魚がヒットした経験はない。これがカヤックフィッシングの実力なのか。とにかく、釣れるわ釣れるわ、カマスの嵐。ルアーを投げて、ただ巻くだけ。細かいことは何もしていない。たぶん今ここにいたら誰が投げても釣れる、という状態だった。
「すごいじゃないですか!」と沼野さんが近づいて来るが、その間にも「あ、来た、バレた。あ、また来た」という感じ。不思議なのは、沼野さんが投げていたメタルジグには一切反応せず、私がたまたま付けていたバイブレーションという種類のルアーにだけにカマスが強烈に反応してくることだった。
試しに沼野さんに私が持っていたバイブレーションを貸して投げてみてもらうと、すぐにカマスがヒットしてきた。後で聞いたのだが、偶然付けていただけのバイブレーションと、たまたまバイブレーションが好きなカマスの大群に遭遇しただけで、こんなことは稀らしい。通常は、魚探で見つけた魚がなんなのか、どんなルアーに反応してくるのかを探るのに時間がかかるとのこと。偶然とはいえ、それも運。さすが私。