海も山も星空も満喫できる「世界の入口」
「唐泊VILLAGE」は、福岡県糸島半島の北の突端に位置する。サッカーグランドにして約3面分、2ヘクタールもの耕作放棄地が開拓され、昨年10月にオープンした。海も山も楽しめる場所で、福岡市内から車で40分という利便性を兼ね備えたキャンプ場だ。
遣唐使が宿泊した日本最古の漁港
唐泊(からとまり)地区は、奈良時代から現存する日本最古の漁港として知られ、遣唐使など、国を代表して海外に派遣される使節が宿泊した場所として、「唐泊」と呼ばれるようになったと言われている。世界とつながる「入口」だった唐泊は、都市部に隣接しながらも古き良き漁村風景を残す地域である。
福岡ナンバーワンの新聞社が運営
運営会社は、「何もないけど何でもある」をモットーに、辺境や遊休地を活用した非日常体験を提供し続けているベンチャー企業VILLAGE INC.と、福岡・九州を圏域とする西日本新聞社との合同会社である「西日本VILLAGE」だ。
西日本新聞社では、2018年頃より「地域づくりの先頭に立つ」という理念のもと、新聞社が持つリソースを活かし、地域活性化などの新規事業に取り組む部門を立ち上げていた。その取り組みのひとつとして唐泊VILLAGEが生まれた。
では、唐泊VILLAGEのいったいどこがすばらしいのか? おすすめのポイントをご紹介しよう。
【1】トゥクトゥクに乗り込み、非日常への旅が始まる
駐車場で受付を済ませたら、トゥクトゥクに乗り込んでキャンプ場へ向かう。
漁港駐車場から場内までの道が狭いため、個人車でキャンプサイトまで乗り入れることは禁止されている。人はトゥクトゥクで、荷物は軽トラで運んでくれるのだ。
受付の漁協ストアーには、地元野菜や果物、時期によっては「唐泊恵比寿牡蠣」(地元産のカキ)を購入することもできるので、気になる食材があれば購入して、キャンプ飯に加えるのもオススメだ。
わが家は11月のキャンプで、「唐泊恵比寿牡蠣」を購入し、炭火で焼いていただいた。身がキュッとしまっていて、ミルキーな味わいが最高だ。店頭に並ぶ商品の種類は限られているので、キャンプ用の食材は持参することをオススメする。
【2】プライベートビーチを贅沢に楽しめる
福岡市内にこんなにも透明度の高い、美しい海があったとは! と最初に訪れたときにひどく感動したことを覚えている。
キャンプ場の裏手にひろがる美しいビーチ「うしろ浜」へは、キャンプ場内の竹藪のアーチをくぐり抜け、白砂の小高い丘を越えて行く。地元住民の手によって、はるか昔から保全されてきた海だ。白い砂浜、遠浅の海。晴れた日には、遠浅のエメラルドグリーンと深海のスカイブルー、2層の海を見ることができる。
わが家の夏キャンプでは、テントで水着に着替えてうしろ浜へ駆けていく。SUPや釣りを楽しむこともできる。浜釣りでは、キスやヒラメを釣ることができる。
キャンプの翌朝、早朝からの釣りやSUPを楽しんで、テントサウナで「整う」コースも人気のようだ。
【3】大自然のテントサウナ
キャンプ場にはMETOSのテントサウナが2つあり、本場のフィンランドサウナを楽しむことができる。大人1100円、小人550円での利用可能だ。
一つのテントサウナに大人4人まで入ることができる。「薪入れ放題」「朝6時〜夜12時まで楽しめるサウナ」「青空の下で外気浴 or 満天の星空の下で外気浴」「水風呂だけではなく海ダイブもできる」などなど、サウナーにとっても魅力的な要素盛り沢山だ。
自ら薪を焚べて、テントサウナの温度を上げていく。アロマオイルを滴らした水でロウリュを味わう。薪ストーブの揺れる炎を見つめながらデトックス。
限界まで身体が温まったところで、外の水風呂へ。
ちょっと歩くが、竹藪のアーチを抜けて、うしろ浜へのダイブも気持ち良い。テントサウナの外にはハンモック、リラクシングチェアがある。寝転んで、ザッパーンと波の音、鳥たちのさえずりを聞きながら身体を自然に預ければ、時を忘れ、今生きている幸せを感じることができるだろう。
わが家の娘は、唐泊VILLAGEで5歳からテントサウナを体験しているが、すっかり整うことの気持ち良さにはまっている。他施設のサウナでは、男女別々や、幼児は入れないところが多いため、家族やカップルでサウナを楽しむことができるテントサウナは嬉しい。
【4】ティピー・バーで他のキャンパーと仲良くなれる
キャンプ場の中央広場に立つティピーテントは、20時以降、「ティピー・バー」としてキャンパーたちの憩いの場となる。
アルコール、ソフトドリンク、おつまみが無料で提供されており、ソロキャンパー、ファミリー、カップル、皆がそれぞれのタイミングや距離感で楽しむことができる空間だ。
フリードリンクの種類は豊富で、レモンサワー、ハイボール、梅酒、焼酎などビール以外、ソフトドリンクまでが揃う。おつまみには、定番ナッツやカルパス、キャベツ太郎やシガレットなど、昔懐かしの駄菓子も並ぶ。ティピーの中央には大きな焚火がゴウゴウと燃え、ティピーの中はとても暖かい。
焚火を円く囲むようにチェアが並ぶ。ドリンク片手に焚き火を眺めるもよし、ティピーの外に出て、澄んだ空気を肌に感じるもよし。大草原に向かってギターを弾き語るもよし(ギター準備あり)。楽しみ方もさまざまだ。
子供たちもまた、夜のバーという非日常を楽しんでいる。大人を真似て、カウンターでソフトドリンクを注文する姿が愛らしい。その日出会った子供同士があっという間に友達になり、ティピーバー外に広がる、大草原を駆け回る。
キャンプという共通のテーマを軸に、交流が深まる。バーで仲良くなった家族と連絡先を交換し、キャンプ情報の交換や唐泊VILLAGEでの再会を誓う。こうして唐泊VILLAGEの輪がどんどん広がっていく。
【5】見晴らし最高のゆったりテントサイト
ヒルサイドは、空と山と海に囲まれた贅沢な空間が広がっている。グラウンドサイドは、山に囲まれ、遮るもの一つない空を見上げるキャンプサイトだ。2ヘクタールもの広大な土地、さらに組数制限しているため、ゆとりあるスペースにテントを張ることができる。トゥクトゥクで場内に入ると、キャンパー自らがテントを張る場所を決めることができる。
夕方になると空一面が赤く染まっていく様をボーッと眺めるのもいい。夕陽が沈むと、西の山の上に月が顔を出してくる。自然の中で一日を過ごしながら、地球の自転を感じる。
【6】清潔感のある水回りの心地さ
トイレは温水洗浄便座があり、男性トイレ4つ、女性トイレが3つ。ミラー付きの洗面所も3つあり、手洗いや歯磨きもしっかりできる。
お湯の出る洗い場、脱衣スペースのある温水シャワー室が3つあるのも嬉しいポイントだ。
【7】愉快なスタッフさん
気さくで愉快なスタッフさんたちが、楽しいキャンプをサポートしてくれる。
運営責任者として働く高松さんは、世界を旅して、ニュージーランドで大工として働いていた人だ。管理棟などの施設を自らの手で作り、料理もできるスーパーマン。チェックインが落ち着き、休憩時間になると、スタッフの皆さんが大広場で、サッカーや野球を楽しんでいる光景にも、唐泊VILLAGEのゆっくりとした時間の流れを感じることができる。
高松さんは、「オープンして一年、少しずつ形を変えながら今のキャンプ場へと進化してきました。唐泊VILLAGEはまだ未完成。当初からのコンセプトとしてあった、『お客さま(村民)と一緒に作っていく村』をこれからも形にしていきたいです」と語る。
キャンプ場内のピザ窯も、企業イベントを機に、イベントスタッフや常連のお客さんが通いながら作り上げたもの。広い大地をどう活かして楽しんでいくのか、この余白も唐泊VILLAGEの魅力のひとつだ。
【8】結婚式や企業イベントもアウトドアで!
唐泊VILLAGEの広大な敷地や大きなティピーテントのスペースを利用して、結婚式や企業研修、イベントなどにも利用されている。
貸切コースのオプションにて、プロジェクターや音響も準備が可能だ。
西日本新聞社と合同で運営を行なうVILLAGE INC.にはウエディングや飲食部門もあるため、ワンストップで結婚式にも対応してくれる。
私は家族キャンプの合間に、テントからオンライン勉強会に参加したことがある。テーマは「幸せに働く、生きる」について。
zoomの背景はリアル自然、鳥のさえずりや波音がBGMとなり、まさにそれを体感した。Wi-Fi環境もあるので、キャンプ場でやってみたいな!にチャレンジしてみるのも面白い。
まとめ
オンラインが主流と言われる時代。山も海も星空も満喫できる唐泊VILLAGEで五感を存分に解放すると、ほんとうに気分がすっきりする。
訪れる人たちの「あったらいいな」が、少しずつ創られていく。訪れるたびに、その小さな変化にワクワクできる。
キャンプ場、と呼ぶには何かが違う気がする。みなさんも福岡にお越しの際にはぜひ唐泊VILLAGEを訪れて、その何かを感じてみてください!
唐泊VILLAGE
福岡県福岡市西区宮浦273−1 受付:唐泊漁協ストアー
- ネット予約 現金・クレジットカード・QRコード決済可能
- 温水洗浄便座あり
- 器具による焚き火OK
- ペットOK
- 薪一束800円で購入可能
- 管理棟でソフトドリンクの購入可能
- 遊具(フリスビー、ボール、卓球セットなど)無料貸出
- キャンプ用品各種レンタル品有り
- インスタントハウス、貸出テントを利用できる手ぶらキャンププランあり
Wi-Fi利用可能
※新型コロナウイルスの影響で営業期間等が変更されている場合があります。必ず事前にご確認ください。
※各地の新型コロナウイルスの感染情報を確認のうえ、うがい手洗い、マスク着用などの対策を行なってください。
※掲載の写真は2021年7月、11月に撮影した写真です(「写真提供/唐泊ヴィレッジ」表記がある写真を除く)。