翌朝、泊まっていたダウンタウンのモーテルから重い荷物を担いで、アンカレジ駅へ。ここからアラスカ鉄道に乗って、デナリ国立公園の入口に向かいます。アラスカ鉄道は南のスワードから北のフェアバンクスまでを結ぶ、全長約750キロ、北米大陸で最北の地にある鉄道です。
アンカレジ駅の切符売り場で、予約しておいた切符を受け取りました。僕が乗るデナリ・スター号は、朝8時発。駅の売店でコーヒーを買って飲んでいるうちに、出発の時刻になりました。
淡い朝の光の中、列車はゆっくりと走り出しました。こんなにゆっくりなの? とちょっとびっくりするくらい。目的地のデナリ国立公園入口までは、約7時間半の道程です。
窓の外には、うっとりと見とれてしまうような、雄大で美しいアラスカの風景が続きます。団体観光客向けの展望車もありますが、一番の特等席は、窓ガラスのはまっていない列車の連結部分。寒いですが、思うぞんぶん景色を満喫できます。
秋色に色づくツンドラを横切りながら、デナリ・スター号は次第に、デナリ国立公園に近づいていきます。
【アラスカ・デナリ国立公園の旅2】
【アラスカ・デナリ国立公園の旅3】
【アラスカ・デナリ国立公園の旅4】
【アラスカ・デナリ国立公園の旅5】
◎文/写真=山本高樹 Takaki Yamamoto
著述家・編集者・写真家。インド北部のラダック地方の取材がライフワーク。著書『ラダックの風息 空の果てで暮らした日々[新装版]』(雷鳥社)ほか多数。
http://ymtk.jp/ladakh/