房総半島はトレッキングが楽しい
房総半島は海のイメージが強いと思います。長野や群馬や山梨あたりのように標高1000mオーバーの山並みが持つ迫力はないのですが、じつは魅力的な低山の宝庫だったりします。
行程は、片道1時間から最大でも2時間くらい。そんなショートコースばかりなので、おいしい魚介を食べ過ぎた重たい身体を動かしにサクッと歩いてみたり、わが家のように3歳と8歳の小さな子どもを連れてもチャレンジできるのがいいところ。
ただ、富士山とか八ヶ岳とか、誰もが知っている王道の山ではなく、ちょっとマニアックな山なのはいなめません。また2019年の秋に、房総半島に大きな被害をもたらした台風の影響で、今もトレッキングコースにアクセスする道が通行止めになっている場所もあります。
そのあたりの情報は、地元の方に聞いて情報収集するのが一番。というわけで、まずはJR岩井駅へ向かいました。
情報収集は『富山ウオーキングセンター』で
当初、岩井駅から近い富山(とみさん)という349.5mの山に登ろうと思っていましたが、案内所の女性いわく、近辺の道路が台風被害によりダメージを受け、背が高く幅があるわが家のキャンピングカーで通るのは「ちょっとキツいかもしれない」とのこと。
そんな情報、インターネットでは出てこなかったので、案内所を訪れなければ危ないところでした……。で、女性に教えていただいたのが、ここからクルマで20分くらいの御殿山。標高は富山と似たような363.9mです。
御殿山に到着
御殿山メモ
標高:363.9m
往復所要時間:3~4時間
駐車場:県道89号線「御殿山駐車場」
所在地:千葉県南房総市山田
緯度経度:35°05’52.9″N 139°56’43.5″E
意外とキツい里山トレッキング
あたりに民家や畑などヒトの気配が無くなったと同時に、上り坂が急になってきました。足下も枯れ葉で滑るので山道に慣れるまでは注意が必要です。
ふっと私の手首からGoPro(アクティブカメラ)のリモコンが無くなっていることに気づきました。途中で落としてしまったのでしょう。夫に先に進むようお願いして、私ひとりで探しに戻りました。
山って、ひとりになったとたん、ものすごく心細くなりませんか? 以前、小笠原の母島を旅したとき、宿から近い低山でひとりトレイル・ランニングしたことがありました。終始誰かに見られているような、ザワザワする気持ちになったものです。なんだか今回その思い出がよみがえって、ビビリな私は急な山道を小走りで駆け上がり、息を切らしながら家族と合流しました。
引き返す勇気、進む勇気
房総の低山とあなどるなかれ。御殿山、これまで私たちが歩いてきたトレイルよりハードなのは一目瞭然でした。もちろん大人だけならなんてことのない山道です。が、3歳児と、ぬり絵とパズルが大好きな超インドアな8歳児に歩みを合わせて、ときに彼らを励ましながら歩くのは、まぁまぁ大変。
幸いにもうちの子たちは「抱っこー」とか「無理ー」とかあまり弱音を吐かないタイプではあるのですが、先が読めずに心配した夫が、「ここで引き返さないか?」と提案してきたのです。
そこに、ちょうど山を下りてきた若いカップルを発見! 御殿山のてっぺんはどのくらいで行けるかたずねたところ、「そんなに遠くはない」との情報をゲット。40分はかからないとのことです。そう、ここは千葉なんです。山小屋に泊まって縦走! とかではない。「きっと私たちなら行けるよ、挑戦してみよう!」と。
御殿山最大の難関
どの山もそうですが、てっぺんへの道のりが一番のがんばりどころ。ロープをつたいながら垂直に登りました。いつも思うのですが、山登りって人生に似ている。歯を食いしばってがんばったからこそ、見える景色があるのです(笑)。ほれ、インドア長男、頑張れ!
家族の経験値を上げてくれた山
この世に生を受けて3年しか経っていない次男。こっちがびっくりするほど山歩きを楽しんでいました。それよりも心配だったのは長男でした。砂や枯れ葉で滑り、何回か泣いていました。でも最後の方は足取りしっかり歩を進めていました。豊は安定の四駆でスタスタ歩いていましたね。登頂できるか少し心配でしたが、チャレンジしてよかった。私たちだってできるんだ。御殿山はそんな自信を与えてくれました。
なんともいえない、いい気分で山を下りました。さて、次はどこへ? お正月休みも、房総のどこかの低山にエントリーしてみたいと思っています。