寝袋改革!? ウールの吸湿性能を利用したら冬キャンプが快適になる
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    2022.01.02

    寝袋改革!? ウールの吸湿性能を利用したら冬キャンプが快適になる

    ダウンを封入した寝袋は、軽くてあたたかい最高のギアだ。

    ところがダウン寝袋は湿気を含むと保温力が低下する。寝袋本来のパフォーマンスを得るにはドライな環境で使うしかないが、冬でもごくわずかに汗をかくし息も排出する。寝袋の外側生地はあたたかい空気を閉じ込めるようになっていて湿気がたまりやすい。

    さらに、テント内側はもちろん、濡れ防止のために寝袋カバーをかけると今度はカバーの内側にも結露が発生してしまう。

    このどうしようもない寝袋の湿気問題に対し、ドイツの寝袋メーカー「グリュエッツィバッグ」が出した答えがウールだ。

    「グリュエッツィバッグ」のブランドロゴは、上に羊を模したイラスト、下には「Wool Inside」の文字。

     

    「グリュエッツィバッグ」の寝袋は8モデルで、
    ●ダックダウン70%とウール30%を使った「ダウンウール」 
    ●天然ウール繊維を厚さ1cmのシート状にコーンスターチを使って成形した「アルムウール」
    という2種類の中綿のいずれかを使用している。

    どちらのシリーズも、ウールのもつ 
    ●温度調整機能に優れている 
    ●自重の30%まで水分を吸収するほど調湿性にすぐれている 
    というダウンや化繊にはない特徴に注目。

    「ダウンウール」では、寝袋内の湿気をウール繊維が吸い取ってダウンのもつ保温性を最大限に発揮させることに成功。シート状の「アルムウール」では縫い目がなくてもずれることなく、化繊以上にすぐれた断熱性をもつ寝袋に仕上げたという。

    ダウンウールは本当に心地いい?

    ダウンの弱点、湿気をウールが吸い取ってダウン本来の保温性を手に入れる。理屈ではわかるが、本当なのか?確かめるべく「ダウンウール」を用いた3シーズン用寝袋「Biopod DownWool Subzero 175」を試してきた。

    「Biopod DownWool Subzero 175」(4万9500円)、850g

    3シーズンとはいっても EN23537に基づくテストでは、寒さに弱い人がゆったり眠れるT-COMF=2度C、比較的寒さに強い人が丸くなって眠れるT-LIMIT=-4度C。雪の積もらない平地のキャンプ場であれば十分使える温度域だ。

    Biopod DownWool Subzero 175」は首回り、フードのフチ(顔に触れる部分)、ファスナーの裏側に中綿をたっぷり用いたチューブを装備していて、肩や顔周り、ファスナーから冷たい空気が入りにくくなっている。

    「グリュエッツィバッグ」の総代理店、エバニューによるとファスナー裏の中綿たっぷりチューブによっておなかや腿あたりはあたたかいが、チューブのない足下は中綿が潰れて冷えを感じやすいのだとか。そのため「グリュエッツィバッグ」の寝袋では足下に余裕を持たせた大きさでつぶれを抑えることで、足先の冷たさを低減している。

    中綿を封入するのはV字チャンバーで、胸元やおなかまわりを効果的にあたためることができる形になっている。J型に伸びるダブルファスナーで大きく開いて出入りしやすく、また、どんな姿勢でも足だけ寝袋の上に載せられる。あたたかい時期に都合がいい機能だ。

    ファスナーはYKKの薄い生地をかみにくいタイプを採用しており、ガバッと大きく開くときもストレスがない。

    ダウンとウールを混ぜるなんて簡単だろうと思いきや、その割合が肝心で、少なすぎるとウールの調湿機能が働かず、多すぎると気化熱によって寝袋が冷たくなるという。また、サンプルを見るとダウンとウールが分離することなくほどよく絡んでいる。

    重量も850gと同クラスのダウン寝袋とほぼ同じ。ウールをブレンドしているからといって、持ち運びは苦にならない。一晩キャンプ場で使ってみたが、いつものダウン寝袋なら途中でムシッとしてファスナーを開くような場面でも快適。気温などまったく同一条件でのテストではないけれど、なかなか調子がよかった。それもこれも黄金比のウールブレンドだからだろう。

    まだあった! 冬キャンプ向き寝袋&インナー

    「グリュエッツィバッグ」の寝袋シリーズの中から、冬キャンプに重宝しそうなものをピックアップ。

    「Feater - The Feet Heater」(1万7600円)、700g

    ハーフサイズのインナー「The Feet Heater(17600)はオーストリアのヒーティングユニット専門メーカーの発熱体ユニットを装備しており、手持ちのモバイルバッテリーにつなげば足先が最大45℃にあたたまる。5,000mAhのモバイルバッテリーで約1.8時間使えるそうで、電池が切れても寝袋の中綿があたたまっているのであたたかく眠れる。

    Biopod DownWool Subzero 175」はトグルで「The Feet Heater」を取り付けられるので、併用すれば冬キャンプがかなり楽になりそう。

    ▲「Biopod DownWool Ice CompostAble」(9万1300円)、1600g。

    雪中キャンプなら氷点下に耐える「Biopod DownWool Ice CompostAble」を選択するのも手。T-COMF=-1度CT-LIMIT=-8度C

    「Biopod Down Hybrid Ice Extreme 180」(11万円)、1450g。

    「アルムウール」を使う寝袋はあたたかい時期向きのものが多いが、「Biopod Down Hybrid Ice Extreme 180」は800+FPのグースダウンをメインに、湿気がたまりやすい場所(布団で言えば、掛け布団の面のトップシート裏面前面)に「アルムウール」を用いて断熱性を高めた最上級モデル(T-COMF=-8℃、T-LIMIT=-15℃)。しかも足下を手持ちのモバイルバッテリーであたためる発熱体を装備している。

    世界で唯一のウールを用いた「グリュエッツィバッグ」の寝袋。湿度の高い日本でこそ効果を発揮できそうだ。

    【問】エバニュー https://www.evernew.co.jp/outdoor/gruezibag/index.html

     

    私が書きました!
    ライター
    大森弘恵

    フリーランスのライター、編集者。主なテーマはアウトドア、旅行で、ときどきキャンピングカーや料理の記事を書いています。

    https://twitter.com/utahiro7 

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