渋谷駅から井の頭通り沿いを数分歩いた位置にある「FUNCTION JUNCTION(ファンクション ジャンクション)」は、1962年に山とスキーの専門店「渋谷みなみ」としてオープンしてから60年を迎える。2階建ての建物の1階は、車のガレージだったスペースを改装してオープンしたそうだ。
2代目に引き継がれた今も、店長おすすめギアが満載のベース基地のような場所だった。キャンプにおすすめの道具は何か、取材してきた。
新しい発想で時代に挑戦しつづけるアイデンティティー
現在のオーナーは、先代の長男である南覚史さん。渋谷みなみがオープンした数年後に生まれ、日本を代表するトップクライマーである父・南博人氏の背中を見続けてきた。同店は「街で1番のアウトドアスポーツ用品店」として親しまれ、昔は地元小学校の上履きと一緒に山の道具が並ぶ不思議なショップだったという。
子供の頃から現在も続けているという南さんのスキーの腕前は折り紙付きで、カナダでマウンテンツアーガイドの経験もあるほど。
トレーニングを兼ねて北海道まで自転車の旅に出るなど、様々なアウトドアアクティビティに挑戦してきたそうで、ほとんどのアウトドアアクティビティについて道具のアドバイスができるレベルの経験があるとのこと。
そういったオーナーの人柄がこの店の魅力であり、実際にフィールドで遊んでいる人だからこそできるアドバイスや、困ったときに駆け込む店としてファンが後を絶たないのだ。
アウトドアの楽しみ方が多様化するにつれて増えていった商品は、もはや大半が店頭に並べきれないレベルに達しており、倉庫で管理している品を含めると数万点に及ぶという。
ウィンターシーズンの現在は、トレイルランニング・登山アイテム・キャンプアイテムを中心とする、速乾、軽量、暖かさなどを売りにした高機能アイテムとギアを中心に展開。
現在のアウトドア用品は、「山専用」「キャンプ専用」「トレイルランニング専用」「スキー専用」といった線引きが曖昧で、多用途なアイテムが多い。
一方で、挑戦する環境によっては専門のアイテムが必要な場合もあり、「0.1gを削って山に行く」というようなシビアな世界があるもの知っている。それらを見極めてきちんとアドバイスできるのが、このショップなのだ。
冬もアウトドアを楽しむ方におすすめ!オーナー厳選の5アイテム
春のスキーツアーや残雪期の登山を楽しみたい人に最適なピラミッド型シェルター
モノポール型のこちらは軽量・コンパクトさが特徴のテントで、幕本体の重量は740g。ポールが別売りになっており、付属の固定バンドを使用すればスキーポールやトレッキングポールを2本連結させて設営も可能。バックパックでスキーやハイクに出かける方にオススメだ。
畳むと13×30cmに収納でき、ちょっとした敷物程度の大きさなのだが、床面積は2.74×2.74mあるのでコットを入れることも可能。縫製によってシームテープをなくし経年劣化によるトラブルを軽減するなど、高い耐久性を誇るアイテムだ。
職人によって手作りされた、雪用のこぎり
ノコギリ職人の高齢化と後継者不足によって一度は廃盤になってしまったものの、近年再販が実現された人気の「モチヅキスノーソー」。
ビッグマウンテンスキーヤーである国際山岳ガイドの佐々木大輔氏監修のもと制作され、先端を左右に振り分けた「あさり」と呼ばれる特徴を持つ刃は、硬く凍った雪もスピーディーに切り出せるそうだ。
バックカントリースキー(スノーボード)で雪質をチェックしたり、雪を切り出して雪道や雪壁を作るのに便利なアイテムで、重さが190gしかないのでバックパックでの携行も可能。本格的な雪中キャンプを楽しむ方にもオススメだそうだ。
外遊びのプロたちが本気で仕上げた3コラボレーショントップス
3つのアウトドアブランドがそれぞれの得意分野を活かしてコラボレーションした、こちらのトップス。デザインは90年代初期の名作「ハリケーントップ」をスペシャル仕様にアップデートしており、襟元やボアタン周りなどのカラーリングも秀逸だ。
中綿はダウン同等の保温性を持ちながら、ウェット時にも保温性能を維持できる高機能素材を採用。キャンプはもちろんのこと、タウンユースでも活躍間違いなしの1着だ。
厚さ2cmのコンパクト収納!調理もしやすい焚き火ツール
軽量コンパクトな焚き火台として人気の「ニンジャファイヤースタンド」を進化させ、鍋や薪を安定して乗せられる剛健さを手に入れた同モデルは、ボトムブリッジを追加したことで耐荷重約4kgを実現。一般的な長さの薪がそのまま乗せられ、2本のトップブリッジで十分に焚き火調理を楽しめる。
メッシュの火床を丸めて収納するとW40×D10×H2cmのコンパクトサイズになり、重量も焚火台としては最軽量クラスの275gを実現。ウルトラライトなギアを求める方に最適の焚き火台だ。
バトニングも調理もこれ1本!3.2mm厚のステンレスナイフ
バトニングは斧や鉈、ハンマーを使わないので、軽量化しつつ焚き火を楽しみしたい時に選択する方法の1つだ。こちらの「SANGA(サンガナイフ)」は、バトニングにも使用することを前提として作られており、キャンプ場の薪を割れる絶妙なブレード長が特徴である。
職人が1本1本研磨して仕上げたハマグリ形状のブレードは、高い耐久性を生み出し、バトニングした直後に魚を捌いたり肉を切ったりしても、切れ味が悪くならない程の丈夫さだという。ブレードの背は角が立っているので、ファイヤースターターに擦り付ければ火花を起こすこともでき、1本あれば何かと便利に使えそうである。
新しい遊び方・楽しみ方を発信する貴重なショップ
マイナス何十度の世界でキャンプするために北海道まで行くニッチな人々がいる今、最先端の遊びはスキー場でのキャンプだと南さんはいう。
今年はスキー場直結のキャンプ場もオープンしており、スキーやスノーボードをしない人向けに、白銀の世界を味わうための施設や場所も増えている。
きちんとしたギアを用意し対策をすれば、冬キャンプ・雪中キャンプを楽しめる時代だ。
スキーやスノーボードが好きな人も、スキー・スノボをしない人も、一緒に雪山に出掛けていき、各々が自分なりの週末を楽しむ。キャンプ層の幅が広くなっている今、そんな冬のスタイルがあっても良いのではないだろうか。
店舗情報
東京都渋谷区宇田川町12−14
TEL:03-3461-0373
営業時間:12:00〜20:00
※元日以外年中無休
公式ページ
https://www.functionjunctiontokyo.net