入浴中に、一人の女性が話しかけてきました。「さっき道路であなたたちを見たの。あんなに小さいバックパックで、歩いて旅行しているの?」との質問に、「車で来ているんだけど、道を間違えてしまったの」と話すと、納得したように胸をなでおろしていました。きっと彼女も心配してくれていたのでしょう。
服を着て、トレイルを歩いているときに、前方から「あー!」と大きな声が聞こえました。男性3人組がこちらを見て、指さしています。「さっき君たちを見たよ」と話しかけてきた男性は、先ほど道路で、親切に声をかけてくれたあの青年。聞けば、近くのキャンプ場でテントの準備をして、これから仲間と温泉に入りに行くのだとのこと。
「美しい場所だし、とてもいい温泉だった。」と話すと、本当にうれしそうに笑いました。「さっきはありがとう、あなたのおかげでたどり着けたよ」とお礼を伝えて、車へ向かう途中、息子ハルが突然「さっきの人、日本語話せたんだね」と言い出しました。「なんで? 英語だったよ?」と聞いてみたら「だって、バイバイって言ってたよ」と上機嫌。自分のわかる言葉が初めて出てきたことが、とても嬉しかったようです。
クーガーダムからユージーンまでは1時間ぐらい。夕方にはユージーンに到着し、肌がしっとりしていることに気づきました。クーガー温泉はきっと、硫酸塩泉のような泉質なのでしょう。明日はトレッキングを楽しんできます。
渡部郁子(わたなべいくこ)
フリーアナウンサー/ライター
JFNラジオ「JOYFUL LIFE」(http://www.jfn.jp/RadioShows/joyful)パーソナリティほか、アウトドア、温泉、音楽をテーマに様々なメディアで情報を発信中。ライフワークのフジロック参加のため、子どもと楽しむアウトドアスタイルを模索中。www.watanabeikuko.jimdo.com/